極秘のジェントルマン

2015.9.28|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

2015-09-28

『Kingsman :THE SECRET SERVICE』   マシュー・ヴォーン監督   20世紀フォックス

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

観てきました。最初に予告編を見てから気になって仕方がなかった、この映画「キングスマン」。打合せが3つ入った日曜日、ちょっと映画で爽快な気分になりたくなって、ナイトショーに足を運びました。

 

これはいわゆる「スパイアクション」というジャンルの映画ですが、予告編とタイトルですぐにわかったのは、これはイギリスの映画だということ。アメリカの映画ではない。この違いは、やはり歴然としてあるのです。

 

例えば「ミッション・インポッシブル」という映画があって、同じくスパイアクションですが、でもあれはアメリカのハリウッド映画です。このキングスマンの映像に私が感じたのは、私が昔観た007の映画に通じるイギリス映画の匂い。

 

ジェームズ・ボンドはSirの称号をもつ正真正銘の紳士です。その紳士が実は驚くべき能力をもっている。この映画に登場する「キングスマン」も、まさのその「恐るべき能力を秘めた紳士たちによる、国籍をもたないスパイ組織」なんです。

 

本作は、もちろんストーリーやそのアクションも面白いのですが、真剣にやっているようで、どこか昔のスパイ映画のパロディであるかのように感じられる部分もあり、そこがまたそれを知る者にはたまらない、という構造になっているとも感じられました。

 

わたしも昔、ロジャー・ムーア扮する007の乗ったロータス・エスプリがそのまま海に入って潜水艦になるというとんでもない仕掛けに興奮したものでしたが、そういう「メカもの」の楽しさも、ふんだんに散りばめられています。

 

それらが、イギリス紳士の装いの中、小道具たちに盛り込まれているのが面白い。ダブルのスーツ、黒い革靴、メガネ、こうもり傘。それらを駆使して英国紳士、キングスマン達が悪漢相手に大活躍するのですから、たまりません。

 

どこの国にも属さないスパイ組織「キングスマン」の紳士が映画の中で口にする台詞が、また渋い。「Manners maketh man」という格言をつぶやき、そしてアクションに突入するのです。

 

makethはmakesの古い表現だとか。「礼節が人をつくる」。14世紀後半のオックスフォード大創設者の言葉だそうですね。他にも「キングスマンは現代の騎士(ナイト)」という台詞も登場します。

 

さほどに英国の伝統的な紳士であることを誇りとし、ウィットに富んだ会話を交わしながら、極秘任務にあたるキングスマン。この映画のストーリーをそのまま描くわけにはいきませんが、この設定と怒涛の如く繰り広げられるアクション、そのバランスが魅力だと感じました。

 

ややこしいことを考えず、私の世代にはどこか懐かしい魅力を愉しむべき映画。しかし見終わった時、「Manners maketh man」という言葉の意味が、この映画全体にずっと響いていたことに気づく。

 

痛快で、背筋が伸びる気がして、しかしどこか哀しくもある、そんな英国紳士たちの物語でした。