川上に報いる

2017.8.25|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈罹災に負けず無垢の木を供給してくれる産地へ私たちが出来ることを想います。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

今日はKJWORKS本社「くらしの杜」へ。本社スタッフとの打合せのためでしたが、行くといつも館内を見て回って「変化」をチェックするのが習慣になっています。もちろん、私がお相手しているお客さま方にご案内をしたいからです。

 

 

 

そこで、モデルハウス「阿蘇小国杉の家」の中に、冒頭の写真のようなコーナーを見つけました。以前からこうなっていたのかはちょっとわかりませんが、「がんばろう熊本」という幟とともに、熊本の小国町を採り上げたコーナーでした。

 

 

 

KJWORKSがつくる木の家は、無垢の柱や梁は、主として熊本県阿蘇郡小国町という地の山の杉の木を使っています。小国町は熊本の中でも大分との県境に近いところ。その材質や高い乾燥技術を知って、ご一緒するようになりました。

 

 

 

杉の木といってもむしろ松に近いような、脂分が多く重い小国杉は、床や外壁板張りに使うと、何とも言えない艶が出てくるんです。そして「火の国」ならではの「地熱乾燥」という特殊な乾燥技術も、彼の地では実際に稼働しています。

 

 

 

先日もここでご案内をしましたが、私たちは木の家をお考えの方々、あるいは日本の林業に関心のある方々と一緒に、年に一度その「木材のふるさと」を訪ねる旅をツアーとして開催しています。ここにはそれも併せて展示されていました。

 

 

 

皆さん御存知の通り、昨年4月の大きな地震で、熊本県は大きな被害を受けました。また、大分に近い小国では、つい先日に福岡県朝倉市がクローズアップされた大雨の影響も受けています。「がんばろう熊本」の幟の意味は、それですね。

 

 

 

もちろん、私たちが懇意にしている阿蘇小国町にも被害はありましたが、それを乗り越えて今も以前と同様に木の家の構造材を私たちに供給してくださっています。でも正直なところ、私自身はその有難みをわかっているとは言い難いです。

 

 

 

というのは、昨年私はその林産地ツアーに参加できなかったから。しかし今年は、私がご案内した方のご参加もあって、10月に彼の地への同行が決まりました。そういう状況の私には今日、この展示が強く訴えかけてきた気がしたのでした。

 

 

 

木の家づくりにおいて私たち家づくり工務店は、いわゆるエンドユーザーである建築主さまと直接お相手しており、「顔の見える関係」だと言っていいでしょう。でも、林産地の方々からは普通、関西で家を建てる人の顔は見えませんね。

 

 

 

しかし、その知らない人たちの家づくりに、材料の供給地としての強い誠意をもって対応してくれている。建築主であるお客さまからも見えにくいであろうその事実は、間に入っている工務店である私たちには、とても強く感じられます。

 

 

 

その誠意、あるいは矜持は、そうした天災の罹災時にあっても最短で材料供給してくれた、その事実にも現れている。遠く離れた関西ではあまり目立ちませんが、そうした「木の家の産地」としての心意気には、まさに感謝あるのみですね。

 

 

 

木の家づくりの業界では「川上、川下」という言い方がよく聞かれます。川上というのは材料の大元である山のこと。川下とは、エンドユーザーであるお客さま、あるいはそのお相手をして家づくりをご一緒する家づくり工務店を言います。

 

 

 

私たちが年に一度「林産地ツアー」を催すのは、その普段は目立たないけれど実は最も大切なものである「川上」に報いる行為なのだと思うのです。そして林産地の皆さんを実際の家づくりの現場へ招待するのも、同じ気持ちの現れです。

 

 

 

川上と川下は、一般的な流通の過程ではあまり顔を合わせません。それは住宅産業に限らないことでしょう。しかし、エンドユーザーの立場で考えれば、その素材のルーツを知っていること自体が、つくられたモノへの「安心」の元である。

 

 

 

全ての「ものづくり」において川上と川下の交流こそが製品への愛着の元であり、ひいてはロングライフデザインの元であると私は考えます。そしてこの「がんばろう熊本」の展示が強く響いてきたのも、きっとそのせいだと想う次第です。