こどもの劇場

2017.8.31|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈ちょっと空間を広げるだけでその用途が劇的に変わる、良い事例を見てきました。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

今日は、KJWORKSが設計・施工させていただいた「伊丹・森のほいくえん」のお客さまと打合せでした。より使いやすくすべく部分改修をするお話です。そして話のあと、「別の事例も見ておいてもらえたら」とご案内いただいた場所が。

 

 

 

その事例とは、お客さまが同じく運営していらっしゃる「千僧・森のほいくえん」です。こちらはKJWORKSとはまた別の業者さんでの設計・施工ですが、無垢の木の床を中心とした子どもたちの五感に響く内部空間は、似通っていました。

 

 

 

でも、大きく違うところもあります。「伊丹」の方は鉄筋コンクリートのビルの1階にテナントとして入っていますが、「千僧」の方は新築の2階建て。ということで、こちらには上下を結ぶ階段があり、それが今日の冒頭の写真なんです。

 

 

 

どうでしょう、この楽しげな雰囲気。保育施設に法規上必要な階段幅の2倍以上をとって、右半分は通常の階段、左半分は2段分の高さにして、これがちょうど椅子の高さになる。そしてその横には造付けの本棚まで用意されていますね。

 

 

 

そして素材は全て無垢の木、杉の床材で出来ています。これは階段ですが、それ以上に子どもたちの「居場所」として充分なクオリティを備えている。小さい子は右側、大きい子は左側に、皆が腰掛けている場面が眼に浮かぶようです。

 

 

 

私が行った時はおやつの時間でしたので誰も座っていませんでしたが、お話を聞くと、ここに子供たちがずらっと並んで、皆に絵本の読み聞かせをしたりもするそうです。それを聞いて「まさにシアターですね」と言ってしまいました。

 

 

 

おそらく、ただ必要な階段の幅だけを確保していたら、こういう「居場所」にはならなかったでしょう。また、階段と同じ幅の空間に本棚とこういう段差があるだけでも、そうはならない。この広い間口があってこそ、シアターになる。

 

 

 

考えてみれば贅沢な空間の使い方ですが、でもおかげで単なる移動空間が子どもたちの居場所になるのだから、無駄をなくしているとも言えるでしょう。座って本を読み、おしゃべりをし、劇場のような使い方もできるのは素晴らしい。

 

 

 

上下の移動空間がないと難しいでしょうが、この楽しい場所は自分でも是非つくってみたい、と思いました。そもそも「上がったり降りたり」という動きは子どもたちの好きなものだし、それに加えてそこで過ごせる、そんな居場所を。

 

 

 

昨今「バリアフリー」という言葉が変容し、過剰なまでの「規制」に堕した例をよく見ます。しかし段差がゼロなら良いのではなく、段差こそが変化に富む面白い空間をもつくり得る。この「子どもの劇場」こそその好例だと感じる私です。