白木の霊力

2017.9.5|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈佳き特性から古来日本人に愛されてきた木材は、今もやはり魅力的です。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

今日の写真は、年月が経って汚れが目立ってきた内装の無垢板を全て張り替え、まさに一新という感じに仕上がったお部屋。狭い部屋なのでちょっと全体が入りませんでしたが、まさに輝くばかりの新しい板の魅力は伝わりますでしょうか。

 

 

 

このお部屋、実は浴室です。そして壁と天井に張られたこの板は檜(ひのき)。浴槽ではなく内装の「檜風呂」というわけですね。これだけの面積を使うと、もうその檜特有のあの香りが部屋中に満ちて、何度も深呼吸したくなりました。

 

 

 

実はこの部屋には元々「高野槇(こうやまき)」の板が張られていたのですが、なかなか高野槇の良い板が手に入りにくいこともあって、今回は檜に変更をしたのでした。張ってみると、やはり何とも言えない素晴らしい特性を感じます。

 

 

 

まず見た目の美しさ。白のような黄のような、肌色や桃色もまじったような微妙な色合いがいいですね。そして表面の手ざわりがまたとてもいいんです。檜ならではの固さを感じる、ツルツルに近いサラサラとでも言ったらいいでしょうか。

 

 

 

そして何よりその芳しい香り。どれもが清冽さ、あるいは高雅な感じをもたらしてくれます。私も久しぶりに檜の内装の浴室をしましたが、それらをじっくり愉しんでいると、日本人にとって檜が特別な存在なのがよくわかる気がします。

 

 

 

ちなみに「ヒノキ」の語源をWikipediaで調べると、こう。「『火の木』という意味だという説と、尊く最高のものを表す『日』をとって『日の木』が由来だという説がある」。私の感覚では後者だと思ったら、こう続きがありました。

 

 

 

語源由来辞典は、上代特殊仮名遣において「火」の「ひ」は乙音である一方「ヒノキ」の「ヒ」は甲音であることから、「火の木」説は妥当ではなく、「日の木」あるいは神宮の用材に用いられることから「霊の木」のいずれかが語源と考えられるとしている。

 

 

 

なるほど。乙音と甲音というのがまた難しいですが、上代(奈良時代ごろ)においては、あいうえお以外にも母音があり、「い」にも2つあったという話。それによると「日の木」あるいは「霊(ひ)の木」が正しい語源では、と。

 

 

 

「霊」という漢字を「ひ」とは現代では読まないと思います。でもこの「霊の木→檜」というのは、私には非常に腑に落ちる説明でした。それは神宮の用材に用いられることよりも、木材そのものに霊力があるような気がするからです。

 

 

 

その霊力というのは、先に書いたその木材のもつ清冽さ、高雅さから感じられます。見た目も手ざわりも香りも、どれもやはり特別な、ある意味神々しさのようなものすら湛えている木材というのは、正直他にあまり思いつきません。

 

 

 

長く建築用材に檜を使い続けてきた日本人の血がそう感じさせるのかもしれませんが、檜の美しい白木には、誰しもハッとするというか、心が洗われるような想いを抱くのではないか。私はそうなのですが、皆さんはいかがでしょう?

 

 

 

この木は他にも、建築用材の強さ、仕上材としての耐水性、そして人の心を落ち着かせる効能ももっています。一面に檜が張られたお風呂に佇み、しばらくその効能を味わいつつ、白木の素晴らしさを私も改めて想ったことでした。