革新の精度

2017.9.13|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈新iPhoneとその会社の建築には、同じ血が流れているようです。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

PC・通信機器の世界はいま、Apple社が発表した新型iPhoneのニュースでもちきりですね。iPhoneが登場して10年ということでAppleとしても気合が入っているのでしょうか。「iPhone X」という画期的(?)らしい機種が登場しました。

 

 

 

私はiPhone3GSから使っているユーザーですが、正直もう新機種に興味はありません。今までで一番デザインや使い勝手が好きだったiPhone5Sと同じ形の「iPhone SE」で充分。今回もSEが残ったのは、そういう人も多いという証拠かと。

 

 

 

iPhoneの新機種よりも、建築屋の私としては、Appleがつくっている新社屋「Apple Park」の方が気になります。冒頭の写真はその現場の状況のようです。12日におこなわれた新機種発表会は、そのビジターセンターであったのですね。

 

 

 

この大きな輪っかのような建物は、その輪の直径が461mという巨大なもの。写真では小さく見えますが、これで4階建といいますからその巨大さがわかろうというものですね。床面積はざくっと30万㎡、1万2千人がここで働くとか。

 

 

 

私がこの建物に興味があるのは、こんなことを書いた記事を読んだからです。「Appleは新社屋に、iPhoneと同じ精度を求めている」と。またなんちゅうことを、と思いましたが、ジョナサン・アイブなら言いかねんな、とも思いました。

 

 

 

ジョナサン・アイブという人はAppleのトップデザイナーで、亡きスティーブ・ジョブズの右腕とも言われた人物です。「シンプル」を追求するためにとんでもない労力と費用をかけて歴代のiPhoneをつくってきた、まさにカリスマ的な人。

 

 

 

そのジョナサン・アイブがどういう指示をしてこの建築をつくっているか、あまり詳細な情報はオープンにはなっていませんが、工事が進むにつれ徐々にその仕様が見えてきて、最新のニュースに私は少し納得できた気がしたのでした。

 

 

 

この建物の設計者は、英国の建築家ノーマン・フォスター卿です。卿と書いたのは「Sir」の称号をもつため。さほどに著名なこの建築家のデザイン手法はApple Parkにも合うと思いますが、この仕様にはきっと彼も驚いたのではないかと。

 

 

 

その驚きの仕様というのは、この建物の中にあるカフェに設けられるというドアです。なんと、4階建ての建物と同じ高さのスライドドアが2枚、両側に引かれて開くという。開くと幅33m、高さ26mほどの開口部が出来る計算だそう。

 

 

 

この巨大なスライドドアが、驚くなかれガラス製だという。こういう写真がありました。

 

 

 

一枚あたり200トンもの荷重をもつスライドドアなんて、ちょっと想像がつきませんね。それをまた巨大な円周の曲面の形に曲げてあるのでしょう。そして円周の曲線に沿ってスライドして開く。開閉機構は地下にあるのだそうですよ。

 

 

 

このドアはカフェに設けられるということからして、想像するに「全開の開放感」を得るためのものではないでしょうか。Apple Parkの周囲は樹々で埋め尽くされるといいますから、その自然との一体感を楽しむための装置なのでしょう。

 

 

 

いや、しかし、そこまでやるか。本当に驚きましたが、同時に納得できるものがありました。きっと歴代のiPhoneも、そうした革新的技術を何気ないシンプルなそのデザイン、その形のなかに埋め込むことでつくられていたんだな、と。

 

 

 

今回の「iPhone X」にも、それはふんだんに盛り込まれたのでしょう。IT機器と建築、その規模は違いますが、Appleが技術者に求めているものは常に、高い精度の「革新」であり、つくるモノの規模は関係ないのだ、と気付いたんです。

 

 

 

そしてその「革新」とは「人の幸せ」に奉仕するものだ、というのが、ジョブズから受け継いでいるAppleの信念なのではないか。スマホと巨大建築に共に同じことを求めるその理由もまた、腑に落ちて納得できる気がした今日でした。