ゆきとどく眼

2017.9.15|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈保育園の打合せで、病院に関する用語がイメージ共有に役立ちました。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

最近、家づくりや施設づくりの現場の話題がないですね。実は今は新しいご計画についてプランをつくったり、資金計画を考えたりする作業が多いのです。なのでブログの文章にはしにくいところですが、今日はそんな作業の中からひとつ。

 

 

 

先月で「木の保育園」の工事が完了しましたが、今また別の「木の保育園」の計画が進んでいます。今度は新築で、このところその間取りづくりにいそしむ日々。その間取りについてのお客さまとの会話の中で、ある気づきがありました。

 

 

 

木の家と同様の構造でつくる「木の保育園」の場合、保育室は1階のみ、というのが原則です。保育室が2階にあると建物に「準耐火構造」がもとめられる、という法規制になっていて、その場合は木構造の見え方がだいぶ変わってくる。

 

 

 

それをふまえてプランをつくる時、保育関係のスペースが1階、事務関係のスペースは2階、というのが面積配分の上では合理的と言えるでしょう。実は最初そういう計画でしたが、保育室と上下階に分かれるのもよくない、という話に。

 

 

 

といって、1階に事務室廻りを全て設けると、ほぼ平屋の建物になってしまう。敷地の使い方としてはもう少し2階にもスペースを配分して、園庭などを広く確保したいところ。と、そんな打合せの中で、重要なキーワードが出ました。

 

 

 

お客さまが「ナースステーションのような場所が必要」と言われたんです。その一言で、私にはお客さまがその場所について思い描いておられるイメージがいっぺんに伝わったのでした。なるほどナースステーションのような役割か、と。

 

 

 

病院の病棟には必ずあるナースステーション。たいてい、エレベーターを降りてすぐの場所にありますね。そして、病室へと続く廊下が見渡せるような位置、そしてすべての病室への動線が短くなるような位置を選んで設けられています。

 

 

 

冒頭の写真の例のように、仕切られた部屋にはなっておらず、カウンターで囲われた感じ。これによって訪問者も訪れやすいし、また内部の人も病棟全体に眼がゆきとどきます。そして、看護師さんたちの拠点として機能している場所。

 

 

 

そんなイメージを伝えたくて、お客さまは「ナースステーション」という言葉を使われたのでしょう。私は前職で病院の設計をしていたこともありましたから、すぐそれが理解できました。そしてそれが保育園のどこにあるべきなのかも。

 

 

 

保育園を訪れる人にもすぐ対応できて、そして園内の子どもたちの動き、その全体を見渡せる場所。子どもたちを見守る眼を、隅々までゆきとどかせることが出来る位置関係。そういう保育士さんや園長先生の拠点のイメージですね。

 

 

 

そして先述の通り、2階には子どもたちを上げることがないのであれば、階段は保育室にある必要はない。このナースステーション的な場所から2階へ続いていればいいので、子どもたちを不要な危険性からも守れるというわけです。

 

 

 

このように、ある言葉を用いることで空間のイメージ、使われ方のイメージが一気に共通の認識になるというのは、非常に面白いし嬉しいものですね。それでパッと目の前が開けた感じがして、今日から早速その視点で間取りを検討中。

 

 

 

同じような木造の建物と言っても、やはり住宅と施設は違います。であればなおさら、お客さまとそれぞれの場所のあり方をしっかり共有しておくべきであり、その積み重ねこそが計画をかたちに昇華させる力になっていくのでしょう。