空気のデザイン

2017.9.21|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈空間デザイナーさんによる、似て非なる、でも似た志事のお話を聞いてきました。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

今日は夕方から、本町にあるカンディハウスさんの大阪ショールームへ行ってきました。毎年秋に開催される「デザイントークイベント」だったんです。今年は6月の旭川へも行けなかったし、大阪ショールームも久しぶりということで。

 

 

 

今回のトークイベント、ゲストはベルベッタ・デザイン主催の空間デザイナー、長谷川喜美さんでした。空間をデザインするという私とも近いお仕事の方、実は私は氏の作品を一度見たことがあって、そのお話に興味があったのでした。

 

 

 

その作品というのが今日の冒頭の写真。大阪グランフロントの昨年のクリスマスイルミネーションで、「Timeless Blossom」という作品です。その名前は今日知ったのですが、昨年その時期に通りかかって、その美しさに驚いた次第。

 

 

 

真っ白で巨大な花で出来たクリスマスツリー。一番下にはそれと対称的なカラフルな花たちが散りばめられ、そして空中にもその白い花たちが浮かんでいます。グランフロントのクリスマスデコレーションは毎年その工夫が面白いんですよ。

 

 

 

 

そして、今日の長谷川さんのお話は『空気をデザインする』というタイトル。これが彼女のデザインのコアだという。

 

 

 

お話によると、「空気をデザインする」というのは、空間そのものをデザインすることよりさらに一歩進めて、音や光などの「移ろいゆくもの」を使って空間を変容させ、人の五感に響くような場づくりをする、という意味のようでした。

 

 

 

グランフロントのクリスマスも紹介されましたが、他にもたくさんの実施事例が。主としてやはりイルミネーションやプロジェクション・マッピングなどを実際の製作物と組合せてさらなる効果を生じさせる、という主旨のものでしたね。

 

 

 

やはりそうした綺羅びやかな演出は特別なイベントにこそ相応しいでしょうから、その類のお仕事が多いようです。いわば「ハレの日の一層のドレスアップ」という性格のものづくり。どれも大胆かつ緻密というか、よく出来ている。

 

 

 

同じものづくりでも私が従事する木の家づくりは、先の言い方に沿えば「ケ(日常)のボトムアップ」という感じ。同じ空間づくりでもだいぶ違いますね。今日はそんな、同ジャンルで正反対の志事からの刺激を期待した面もあるのです。

 

 

 

ハレの日は、ハレであるが故に「繰り返し」は好まれない。対してケは日常であるが故に、繰り返しが普通です。ハレの日のデザインはその都度新しいアイデアを必要とし、そのアイデアの創発がデザイン上の一番のスキルなのでしょう。

 

 

 

そこは自分と大きく違う部分でしたが、しかしその創造におけるコアの部分以外は、ものづくりの本質は同じだとも感じました。アイデアを形にする上で最適な技術を探し、試し、検証して進んでいく作業は、むしろ地味な積み重ねです。

 

 

 

90分間のお話の中では、そうした事例紹介と併せて氏の時間管理術や志事を進める手順や思想などもあり、かなり濃い内容だったと思います。たまにはこういう優れた「似て非なる志事」からの刺激もよいもの、聞いてよかったな、と。

 

 

 

お話の後はショールームでカンディハウスさんの家具、特に新作などを体感してから帰ってきました。毎年行くようにしていると、そのデザインの方向性の移り変わりなどもなんとなく感じるようになるので、これも継続が大事ですね。

 

 

 

 

こうした置き家具づくりもまた、空間づくりのひとつだと私は思います。「空気をデザインする」ということは、長谷川女史だけに限らず、本来全てのものづくり従事者が標榜すべきものなのかもしれない、そんなことも感じた今日でした。