絵の具と空間

2017.9.26|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈KJWORKS本社にはいま、街を描いた日本画が展示されています。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

先の週末にKJWORKS本社「くらしの杜」へ行ったときのこと。社屋の1階はカフェ・ギャラリー・薪ストーブの店・図書館として使われているのですが、そのギャラリー的エリアに、いくつかの絵が飾られているのに気づきました。

 

 

 

あ、そういえばスタッフから案内が来ていたなあ。そう思いつつ、どうも絵の具の感じから日本画らしいそれらの絵を、しばらくゆっくり鑑賞させてもらうことに。どの絵にも「家」が描かれているようで、その画題にも興味をそそられて。

 

 

 

作者は稲岡篤さんという日本画家、30歳。兵庫の生まれで、今は岡山県真庭市在住の方だそうです。もちろん全く存じ上げない方でしたが、KJWORKSの社内で日本画を観るなんて初めてのこと。そのマッチングも含めて愉しめました。

 

 

 

どの絵にも街の風景が描かれ、そこに「家」が重要な役割をもっているようです。なかでもモノクロームの絵には独特の風合いというか味があって、いい感じ。墨絵ではなく、日本画の絵の具によるテクスチュアをもった白黒の画面です。

 

 

 

このところ何だかバタバタしていて、絵の中でも一番好きな日本画を観るということも本当に久しぶり。それも美術館や商業ギャラリーの白い壁面ではなく、木の家の雰囲気の中に展示されていると、また違う味わいが感じられますね。

 

 

 

日本画と洋画の一番の違いは、絵の具でしょう。日本画では「岩絵の具」と言われるように、主に鉱物などの自然の素材から絵の具を採ってきます。日本画の白は「胡粉」と言って、貝殻を粉になるまで擂り潰したものなんですよ。

 

 

 

それら自然のものたちを粉にして、それを絵の具として使う。といっても粉ですから、膠(にかわ)で溶いて画面に定着させるのですね。洋画の油絵具が「塗る」という感じなら、岩絵具は画面に「積もらせる」感覚、でしょうか。

 

 

 

ですから、洋画と日本画では画面の質感が全く違います。どちらが良いというのではありませんが、岩絵具をしっかり使った画面は、まさに自然素材的テクスチュアをもって、鑑賞者にその出自を知らせているように私には思えます。

 

 

 

そういう「自然から採った色」という特徴をもつ日本画だからか、作品たちは後ろの白い漆喰の壁と、とても馴染んでいると感じました。特に胡粉の元となる貝殻と漆喰は同じ炭酸カルシウムですから、いわば兄弟のようなものですもんね。

 

 

 

なるほど、木の家に日本画が展示されるとこうなるか。私も初めての経験ですが、無機的なガラスのなかの展示用壁面に飾られるよりも、空間と絵画との響き合いが起こっているようで、とても落ち着いて鑑賞を愉しめる気がしたんです。

 

 

 

それはお客さまとの打合せ前の、ちょっとした時間。でも久しぶりに好きな日本画を、それも身近な空間との相性も一緒に体感できました。小さな、でも鮮やかなリフレッシュ・タイムに、心の元気をもらえた気がしたひとときでした。