想い出まもり

2017.10.1|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈18年経っても変わらない木の家、でも自分はだいぶ変わったことを教えてくれる貴重な財産です。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

昨日のことになりますが、だいぶ前に建築した木の家のお世話をしに行ってきました。お客さまからのご依頼で、長期不在中の定期的なメンテナンスを承っているんです。まさに「家守り」でのご訪問で、これもつくり手の大事な志事です。

 

 

 

実はこのお宅、私がKJWORKSに入社して最初に担当させていただいた思い出深い木の家なんです。いま築18年目を迎え、長期ご不在となってからももう何年も経っていて、ずっと弊社スタッフの手で定期点検がおこなわれてきました。

 

 

 

しかし設計者である私自身が点検の担当としてお伺いするのは、ずいぶん久しぶり。点検とお世話で季節ごとにお伺いすることにしているのですが、前回までは現場管理スタッフが担当していましたから、もうご訪問は何年ぶりでしょうか。

 

 

 

お客さまとは折に触れてメールのやりとりもあるので、情報共有とそれに応じたメンテナンスは出来ています。でも久々にご訪問して、まず周辺環境の変化に驚きました。ずいぶん「街」になってきていて、ちょっと道に迷ったくらい。

 

 

 

なんとか辿り着いたら、お預かりしている鍵で入らせていただき、まず窓を開けます。風通しをしながら電気のブレーカーや水道メーターの状況確認、太陽熱利用システムの状況確認、他にも建物に異常がないかをチェックしていきます。

 

 

 

そして家の周りの雑草を引いたりしながら外部の状況確認も。ポストに入った郵便物やチラシも取り込んでおいて、一通り終わると2時間くらい経っていました。ほっと一息ついてから、家族の間(LDK)で撮ったのが冒頭の写真です。

 

 

 

こう見ると、ずっとご不在の家とは思えませんね。実際、窓を開ける前でも特に空気が澱んでいる感じはなく、やはりこれが自然素材の威力かなと感じます。そしてこうやって吹抜けを見上げていると、18年前のことが色々と想い出されて。

 

 

 

当時私は32歳、建築設計の経験は10年でも、木の家づくりにはほんの初心者でした。それでもお客さまと二人三脚であれこれ議論を重ねたこと、何よりお客さまが若輩の私を信頼してくださったこと、それらは本当に貴重な私の財産です。

 

 

 

雑草引きで少し疲れたこともあって、しばらくこの家族の間に座って窓から入る風を感じながら、その頃のことを回想していました。その後、本当にたくさんの木の家をつくらせていただいていますが、この家が私の原点だと感じつつ。

 

 

 

考えてみれば、KJWORKS阪神をつくって4年目に入ったいま、このお宅の家守り担当が私のところへ戻ってきたことも、もしかしたら何か意味があるのかもしれませんね。もう一度原点回帰という思考をもてよ、ということなのかも。

 

 

 

確かに、18年前なにもわからぬままに色々考えてお客さまにご提案していた、あの頃のがむしゃらさは今だいぶ薄くなっています。妙な慣れが私の中にも生まれている。しかし「木の保育園」を手がける今、あの初心に帰るべき部分もある。

 

 

 

家を永く維持するための「家守り」とは、実際に担当者がおこなう場合、自分自身の「想い出守り」という側面もあると思います。訪れて当時を回想し、その中から今薄れている何かを発掘する。それは昔の己との対話とも言えるでしょう。

 

 

 

久しぶりにこの家をご訪問しお世話して、そう感じました。お客さまと会えないのは残念ですが、家そのものとそこに居る32歳の私との対話は、嬉しいような恥ずかしいような、でも忘れかけた想い出に触れたような意義深い時間でした。