仕組みと暗箱

2017.10.3|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 KJWORKS

 

〈住宅内の設備機器というものは、利便性よりシンプルな機構の方が大事だと思うのです。〉

 

 

 

ご愛読、ありがとうございます。木の家づくり・暮らしのプロデューサー、山口です。

 

 

 

先日、築12年になる木の家へ、メンテナンス工事に伺いました。キッチンのレンジフード内にある換気扇の調子が悪く、その部品を取り替えるためです。正確には、換気扇のファンの外側にある開閉機構、ダンパーの動きが悪くなって。

 

 

 

写真がその換気扇部分を取り替えた施工後の様子ですが、2017年現在、こういう昔ながらの「プロペラファン」のレンジフードはめっきり少なくなりました。今はプロペラではなく、筒型の「シロッコファン」が大勢を占めていますね。

 

 

 

また、いわゆる油汚れの掃除について、その手間を省くという方向で色々とレンジフードも変わってきているようです。例えばクリナップ「洗エール レンジフード」とかリンナイ「オイルスマッシャー」など、工夫を凝らした製品たちも。

 

 

 

でも、それらの製品のWEBサイトを見ても、正直言って私はあまり感心しません。進化している、という言い方はしたくない感じ。それは「楽をする」ことを重んじるあまり、どんどん仕組みが複雑になっているように感じるからです。

 

 

 

例えば、換気強さも三段階調節でそれぞれを示すランプがついていたりする。あるいは「省エネ運転」とか。思うに、こういう「電子制御」の部分が増えれば増えるほど故障の際に手が出せなくなり、機器はブラックボックス化するのでは?

 

 

 

今回の換気扇も、交換にはなりましたが、その壊れた箇所は非常にわかりやすい。また日々の掃除も、すべきところがわかりやすく、ということは掃除もしやすい。「あまり掃除しなくていい」機器は、いざ掃除するときは大変なのです。

 

 

 

実は同じ主旨の記事は前にも書いていて、その時はガスコンロでした。「焜炉」と書いた頃のそれは「コックをひねってマッチで火を点ける」もので、その単純さは「故障のしようがない」ものだった。それが今ではまるで電子機器だ、と。

 

 

 

電子制御の部分を多くもつ設備機器は、その部分が故障した場合、仕組みがわからない以上、修理はできません。その部分を丸ごと代えるという話になる。そしてともすれば「機器ごと代えたほうが経済的ですよ」なんて言われたりも。

 

 

 

今回、いよいよ換気扇にもその波がきたかと昨今感じていたところへ、このシンプルな機器をメンテさせていただき、その思いを強めたというわけなのでした。お客さまがとても綺麗に使っておられたので、余計にそう思ったのですね。

 

 

 

住宅の志事をしてこういう機器の変化を見るにつけ、「利便性」とは一体なんだろう?と考えてしまいます。いまや自動運転の車が生まれつつあるこの世界ですが、それは即ちブラックボックスが巨大化することでもあるでしょうから。

 

 

 

人が何もしなくてよくなる、それは便利であっても暮らしの豊かさではないと思うのです。「愛着をもって、手を掛けてモノを使う」ことは、得体の知れないブラックボックスの部分を多く内包する機械には実現しにくいとも感じます。

 

 

 

私は古い人間かもしれませんが、モノを大切に使うことと、使うのに手間がかかること。それは同じことの表裏、つながったことだと感じます。シンプルで丈夫なものを世話しながら永く使う、それは便利とは異質な豊かさなのでしょうね。