超高層マンションによる景観の侵害について

2010.10.16|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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いつもお読みいただきありがとうございます。

 

今日は、「街の景観」ということについて、司法によるひとつの答えがありましたので、ちょっとそれを取り上げます。

 

台東区西浅草に建設中の高層マンション「浅草タワー」をめぐって、すぐそばにある浅草寺と周辺の住民の方々とが、都などに対して建築確認の取り消しなどを求めた裁判で、東京地裁は請求を棄却する判決を言い渡しました。

 

事情をよくご存じない方のために少しご説明しますと、あの超有名な浅草寺の西側約400mというごく近所で、高さ130メートルの超高層マンションが建設されようとしているんです。それが「浅草タワー」です。

 

もちろん、建築基準法を遵守し、「総合設計制度」を活用している建物であり、それ自体に問題はありません。しかし、原告側の主張は「高すぎて歴史的な景観を損なう」「浅草寺周辺の景観に悪影響を及ぼす」というものなんですね。

 

この「景観」というものの考え方は、本当に人それぞれですから、どれが正解というものがないんです。「この建物は景観を乱す」ということについての共通認識が立てにくいわけですね。人の感じ方はそれぞれ違いますから。

 

今回の事例もそこが争点となっているわけですが、ここで問題となるのが、台東区がまとめた「マスタープラン」というやつです。これによると計画地に建つべき建物は「三階から五階」と書いてあり、明らかに街の景観に配慮した内容になっているとか。

 

事前にそれがあって、しかし実際には37階建、130メートルの建物が建つ、となれば、これに対して訴訟が起きるのは当然という感じが、私などはするのですが、皆さんどう思われますか?

 

じゃあ、マスタープランって何?法的拘束力の全くない、単なる「絵に描いた餅」ならば、何のためにそれを策定するの?そういった部分で、何だかすっきりしない憤りをおぼえますし、浅草寺を含めた住民の皆さんの素直な感情にとても共感します。

 

なあんや、結局なんやかんや言うても、経済の原理で全てが決まって、景観とか街の美しさとか、そんなものは結局二の次か。そういう批判が、今回のこの判決に対して巻き起こると思います。

 

高い建物が悪いわけではない。でも、低い建物ばかりのところに高い建物が現れれば、おのずと景観は乱れる。高い建物は、そんな建物ばかりのところに集まっている方がいい。

 

景観なんて、所詮そういった程度の感覚的なものではないかと思いますし、それがきちんとグラデーションとしてそれこそ「マスタープラン」のようなもので策定されていれば、こんな問題は起きないと思います。

 

今回、よろしくない判決に結びついてしまいましたが、その影に結局「景観なんてなんぼのもんや」的な考え方がのさばっていることに、私は心から残念な思いをしたのでした。

 

原告の控訴により、何らか事態が好転することを願います。