空中の茶室

2010.11.6|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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いつもお読みいただきありがとうございます。

 

今日は何とも想像力をかき立てる「空中茶室」の話です。

 

京都府八幡市の石清水八幡宮境内で、茶室「閑雲軒(かんうんけん)」とみられる遺構が見つかったそうです。この建物は1773年に焼失したのだそうですが、その柱を支えていた礎石(そせき)が見つかったんですね。

 

画像がその復元図なのですが、すごい建物ですよね!崖の斜面に、まるで空中に飛び出しているかのように建っています!これは「懸造り(かけづくり)」という工法で、清水寺のような高床式の構造です。

 

これを見て思い出すのが、鳥取県は三朝町にある三徳山三仏寺の「投入堂(なげいれどう)」です。あの建物ももの凄い崖の、その岩の窪みの中にまさに投げ入れたように、懸造りで建てられています。

 

しかし今回のこの茶室も、投入堂にも負けないダイナミックなもののようですよ。

 

地面から茶室の床まで、高いところでは6.5メートル。崖面からのせり出しは8メートルもあったといいますから、その中からの眺めはどんなものだったのでしょうか。まさに、「空中に浮かんでいる」ような状態だったのではないかと思います。何だかワクワクしますよね。

 

このすごい建物をつくったのは、江戸前期に活躍した大名茶人、小堀遠州(1579~1647年)です。遠州は「綺麗さび」と言われるお茶のスタイルをつくり、将軍家の茶道指南役だった人です。また、幕府の作事奉行も勤め、建物や造園にたいへんな才能を示した、その時代の寵児と言える人物でした。

 

この茶室、まさに遠州らしい、「非日常空間をつくりだす」というような意図でつくられたのではないか、と想像します。遠州は、利休や織部ともまた違った、いわゆるアーキテクトに近いような人物だったのではないかなあ、と私などは感じますね。利休は決してこのような茶室はつくらなかったと思います。

 

とにかく今回の発見、建築屋としては興味津々です。

 

是非、閑雲軒そのものの復元!ということにならないかなあ、と期待しますが、おそらく観光用にはできないですかね。なんといっても、かなり危ないでしょうから(笑)。