アンモニア社会

2011.1.31|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

アンモニア

 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

今日もまた、世界をひっくり返しかねない、素晴らしい研究のことを知りましたので、興奮しつつ取り上げます!

 

「アンモニア」と聞くと、理科の実験で嗅いだあの強烈な刺激臭が思い浮かびますよね。でも、アンモニアというものは、この世界にとって大変重要な物質なんです。

 

何故重要か。それは、あらゆる生物が生きていくために、タンパク質やDNAの構成材料でもある窒素が必須元素であること。そして、にもかかわらず生物は空気中の窒素を直接利用することができない、という事情があるからです。

 

写真は、マメ科の植物、レンゲソウです。これらマメ科植物の根には「根粒菌」というものが共生しており、根粒菌の持つ「ニトロゲナーゼ」の作用で、窒素をアンモニアに変換できます。このように植物は窒素を土中から取り入れることができ、動物たちはそれら植物を食べることでしか窒素を摂ることができないわけです。

 

そこで、植物に効率よく窒素化合物を与える目的で、空気中の窒素からアンモニアをつくり、そこから化学肥料をつくるという方法が発明されました。これは、人類全体の食糧事情を考えた時に、革命的とも言える出来事だったんですね。

 

しかし、この方法にはまだ不完全なところがありました。それは、「合成に多大なエネルギーを必要とする」ということ。この方法では、鉄系の触媒を使い、高温高圧の条件下で窒素と水素を反応させてアンモニアをつくります。その際のエネルギー消費は膨大なもので、世界のエネルギーの数パーセントは、アンモニアを作るために使われていると言いますから、すごいものですね。

 

それを受けて今、植物がおこなっているような、常温常圧でのアンモニア合成手法を求めて研究が盛んにおこなわれ、日本の研究者が、その素晴らしい方法への糸口を発見したということなんです。

 

まだ完全とは言えないようですが、最終的な目標としては、アンモニアを空気中の窒素から常温常圧で合成し、かつその際に必要となる水素イオンを水から取り出すという、とてもECOな方法へ向かってその研究は進んでいるようです。

 

このような素晴らしい研究が成功し、アンモニア合成が現実のものとなったら、どうなるか。単に肥料をつくることが簡単にできる、というレベルの話ではないんです。

 

その時アンモニアは、燃料として使われます。環境に与える負荷が少ないアンモニアは、エネルギー、資源といったいろんな問題を全部一挙に解決できる、究極のエネルギー媒体になるのではないかと言われているんですよ。

 

空気中の窒素と水からアンモニアを合成し、それを燃料とする。酸素との化合でNOxが出るいう問題も、今ではかなり有効な触媒が開発されていて、おそらく解決可能だろう、とのこと。

 

いや、本当にそうなれば、凄いことだと思います。エネルギー問題、そして化石燃料によるCO2の問題、オゾン層の破壊、色んな問題を解決できる救世主となりえる。それがアンモニアなんですね。

 

私も、そのような研究のことは全く知りませんでしたが、そうやってエネルギー問題を解決すべく日夜研究を続けておられる方々には、本当に頭が下がる思いがしました。

 

今回の研究者、西林博士の言葉です。

「化石燃料に頼っている世界はいずれ終わりを迎えますから、新しい技術で世界を変えていかなければなりません。人類の役に立つプロセスを開発することが、アカデミックな領域にいる科学者の役割でしょう。技術立国である日本は、もっとこうした研究を武器にして、発展途上国に貢献するといった取り組みを行っていく必要があります。 」

 

いや素晴らしい!頑張ってください!