木でつくるデザイン

2010.6.9|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

040313-103241.jpg


いつもお読みいただきありがとうございます。

この屋根、京都は仁和寺にある茶室の屋根です。これは、樋ですね。

今の住宅で雨樋といえば、塩ビ製のものが大半です。ガルバリウム製のものもあり、KJWORKSではどちらかというとガルバが多いですが、いずれにせよ人工材料のものですね。

しかし、このような草庵風の茶室や、あるいは信州・妻籠などの伝統的建築群では、軒樋も竪樋も、当然のように自然素材で作られています。
軒樋は竹を半割にして節を抜いたもの。竪樋も竹ですね。そして、軒樋が受けた雨を竪樋に流し込む部分は、板を組んだもの。
ぱっと見ると、「ああ竹の樋やなあ」と思って終わりなのですが、でもよくよく見ると、各部分がちゃんとデザインされていることに気づきます。その美しさに、私はしばらくこの樋だけを眺め続けてしまったのでした。
まず、軒樋を支えている部材、これも板を削って作られていますが、その曲線の美しいこと!ただ支えるだけなら、樋が乗っかる部分だけ削ればいいのですから、これは明らかに「より美しく」と思って形を整えているに違いありません。
また、板を組んだ「枡」が下に向かって絞られた形状になっていることで、重くないシャープな見た目になりますし、それを締め付けている鉢巻状の部分も、絶妙な位置に付いていると思います。
さらに竪樋の竹の一部が伸びて「枡」に留めつけられているんですが、その形がまたとても美しいです。シャキッと斜めにカットされて、実用上も意味がありますし、よりシャープさを強調する効果も感じられますね。
こういうのを見ると、自然素材を使い慣れているが故の「用の美」と、意匠的にもっとすっきりと軽く、というデザイン的意図の両方を、うまくひとつの形にまとめあげていることを強く感じます。
本当に昔の人の感性の鋭さには驚かされますし、素直に感服してしまいますね。
自分が設計する家も、このような視点をもってデザインしていきたいと、強く思う次第です。
いい勉強をさせていただきました!