『日本の伝統美を訪ねて』

2011.4.7|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

30895486

 

『日本の伝統美を訪ねて』 白洲正子著 河出書房新社(文庫もあり)

 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

わが尊敬する白洲正子女史の対談集です。白洲さんの随筆集も、それは素晴らしい作品群だと思いますが、いくつかある対談集は、随筆とはまた違った、その独特の話術が楽しめるのが魅力だと思います。

 

本書は、工芸、仏像、着物、骨董、短歌や俳句、能、などといった、様々な日本の伝統文化に関わる専門家たちとの対話がおさめられているものです。

 

日本文化論といった感じの文章、あるいは随筆などあっても、どうしても専門的な記述が多くなり、専門外の人にはちょっと取っ付きにくくなりがちですが、対談集であることで、とてもわかりやすく、楽しんで読めるのがいいですね。

 

私がこの本を読んだのは、建築家・谷口吉郎氏と白洲さんの対談が入っている、と聞いたからでした。近代数寄屋の名手、谷口さんと白洲さんは、どんな話をされたのか、興味津々で読んだことを思い出します。

 

実際には建築の話はあまり出てこなかったのですが、「日本的でも西洋的でもないようにつくっている」という谷口さんの言葉が印象的でした。そうやってつくっても、それでも表現に現れてくるもの、それが日本人の血、日本のこころ、というものだと。

 

他にも様々な名人たちと白洲さんの対話は、わかりやすくてかつエッセンスが凝縮されている感じ。まさに「読んで得した!」と思われること請け合いの、良書であります。