謎の絵画

2011.4.25|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

Las_Meninas_01

 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

今日はちょっと趣向を変えて、私の好きな絵をご紹介します。画像はいつもより大きめで!

 

ご覧の絵、17世紀バロックが生んだスペインの画家、ディエゴ・ベラスケスの手になる傑作『ラス・メニーナス(女官たち)』です。

 

私はベラスケスの絵がとても好きなのですが、中でもこの作品はその「謎」が観るものを惹きつけてやまない、素晴らしいものだと思います。

 

宮廷画家として活躍していたベラスケス、この絵も宮廷内の人々を描いています。まず、画面中央はマルゲリータ王女。そしてその周囲に王女づきの女官たち。タイトルの由来ですね。

 

そして、画面左側には大きなキャンバスがあって、ベラスケス自身が描かれていますね。ベラスケスはこちらを向き、パレットから絵の具をとろうとしていて、まさにキャンバスに描いている最中です。

 

ここがこの絵の最大の特徴です。この絵は、画中のキャンバスの絵のモデルの位置から見た光景、というわけですね。

 

では、画中のキャンバスにベラスケスが描いているものは、何か?これがこの絵の「謎」なんです。

 

ここで絵の中央奥を見てみてください。何やら鏡らしきものがあって、男女の姿が写っています。この二人は、国王フェリペ4世夫妻です。

 

そう、あれが鏡だとすれば、国王フェリペ4世夫妻がモデルで、その眼から見た光景ではないか?とすれば、画中のキャンバスには国王と王妃が描かれているはず。これがひとつの説です。

 

でも、あの奥のものは鏡とは限らない。あれが「ベラスケスが描いた別の国王夫妻の絵」だとしたら…。そうなるとモデルは全くわからなくなるわけですが、ここでもう一つ、全く違う考え方があります。それは、「このモデルの位置にこそ大きな鏡がある」というものです。

 

それを前提として、ベラスケスは鏡に写ったマルゲリータ王女と女官たちを描いている、という説もあるようです。しかし、私が一番好きで、支持している説は、「画中のキャンバスにも『ラス・メニーナス』が描かれている」というもの。

 

絵の中の絵、その絵はこの絵そのもの。この絵を描いている自分を描いている画家。何という大胆な画想でしょうか。そしてそれを描ききる構成力と筆力。素晴らしいですね。

 

もちろん、その説が正しいかどうかはわかりません。でも、そんな素敵な謎を内包したこの絵が、世紀の傑作であることは間違いない。テレビや画集などで目にするたび、私はそう思うのであります。

 

世紀の傑作であるがゆえに、プラド美術館からは門外不出のこの絵、死ぬまでに一度は…。