本のアナログ・デジタル

2011.6.15|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

本のアナログ・デジタル

 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

最近はタブレット型デバイスの普及にも後押しされて、「電子書籍」というものがどんどんと普及しているようですね。

 

私もiPhoneを使っていますし、iPadにもかなり魅力を感じている一人ではありますが、この電子書籍というものには、全くこれっぽっちも興味をもつことが出来ません。自分でも不思議ですが。

 

そう思っていたら、「紙の本の優位性」を論じた面白い記事(『Wired Japan』)に出会い、共感をもったので、少しご紹介します。

 

その記事によると、まだ以下の5つの点で、電子書籍は紙の本にかなわないと論じられています。逆に言えば、これらの問題を解決すれば、電子書籍の進化と普及はさらに進む、ということになるのですが…。

 

1.読了へのプレッシャーがない。

電子書籍は、視界のどこかに存在し、最後まで読め、と訴えてくる力に欠ける。

2.購入した本を1箇所にまとめられない。

本棚を自分で整理し、その中から本を選ぶという、紙の本ではあたり前のプロセスが電子書籍にはない。

3.思考を助ける「余白への書き込み」ができない。

アンダーラインを引いたり、読んですぐに思いついたことを書き留めたりする機能がまだ不充分。

4.位置づけとしては「使い捨て」なのに、価格がそうなっていない。

電子書籍は発行にほとんど費用がかからないのに、紙の本よりもわずかに安いだけ。

5.インテリア・デザインにならない。

物理的な本棚というものは、自分の人となりをほかの人々に無言で紹介するものではないだろうか。

 

なるほどなるほど。私はこの記事を読んで、こう思いました。つまり、紙の本というのは、文字による情報以外にも、紙という物質のもつ情報、それを束ねてカバーをつけ、デザインされた表紙をつけた「物体としての本」の発する情報があり、それらは場合によっては内容以上の価値をその本に与えているのだなあ、と。

 

例えば、本の重さ。装丁のデザイン。新刊を初めて開くときの音。ページをめくる時の手触り。古くなった本の匂い。考えて見れば、本を読むという行為には、文字を読む視覚以外にも、さまざまな感覚に訴えてくるものがありますよね。

 

ですから、私もそうですが、そういう部分に価値を見いだしている人は、電子書籍なるものに全然面白みを感じない、食指が動かないのだなあ。今回の記事を読んで、実にそれが納得できました。

 

電子書籍が好きになる人と、そうでない人。書籍というものの何に価値を感じているかによって、はっきりと分かれるのですね。面白いです。

 

でも、五感に訴える上記の「紙の本の魅力」は、そうそう電子書籍には実現できるものではないでしょう。そう思うと、何だかちょっと安心した私であります。