鬼ぶな

2011.7.6|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

鬼ぶな

 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

タイトルの「鬼ぶな」、ご覧の巨木につけられた名前なんです。その猛々しい枝ぶり、まさに「鬼」の名にふさわしい、生命力あふれるブナの大木ですね。

 

この「鬼ぶな」があるのは、長野県は飯山市、鍋倉山のブナ林です。信州側の東斜面に、約30ヘクタールの、巨木を数多くもつ豊かな森があるんです。

 

中でも、特に立派な巨木には名前がつけられています。現在一番大きな木は「森太郎(もりたろう」と呼ばれていて、高さ25メートルもあるといいます。すごいですね。

 

しかしこのブナ林、現在は保護活動の対象になっているんですね。1999年に「こぶブナ」と呼ばれていた巨木が倒れてしまい、それをきっかけに保護の機運が高まったといいます。保護の活動をしているのは「いいやまブナの森倶楽部」の皆さんです。

 

豪雪地であるがゆえの雪の被害、あるいは木の病気などで、毎年徐々にブナ林は弱っているといいます。また、皮肉なことに、巨木の森が世に知られ、来訪者が多数訪れることも、ブナへの悪影響があるのだそうです。

 

ブナが活き活きと生育するためには、周囲の土壌が空気を含んで柔らかく保たれていることが大事。多くの人が訪れ、ブナの廻りの地面を踏み固めてしまうと、ブナは弱ってしまう。それほどにデリケートなんですね。

 

今回、「森太郎」のすぐ近くに立っていた「森姫」という別の巨木が、死んでしまったのが確認されました。唯一葉を付けていた枝も昨年折れてしまい、もう葉が出る見込みはないという、樹木医の診断だったそうです。

 

これも、廻りの土が踏み固められたことが大きいようで、ブナの森倶楽部によって周囲の立ち入りが禁止されたりと、保護策が進められてはいたのですが、それも虚しく、枯死に至ってしまったということです。

 

何というか、こういう記事を読むと、人間という種は自然にとって何なのか、という思いで苦しくなってしまいますね。

 

しかし、同倶楽部の皆さんの保護活動は終わりではありません。さらに積極的な活動をしていくべく、その新たなシンボルとして選ばれたのが、冒頭の「鬼ぶな」である、というわけなんです。幸い鬼ぶなには病気もなく、状態がとてもよいとのこと。今後同倶楽部によって見学路の整備などがおこなわれる予定で、林野庁や市などとの協議が始まるようです。

 

私も、森の資源の恩恵を受けて、それを活かした家づくりという職に、日々従事させていただいています。本当に、木々あっての家づくり、なんです。

 

ですから、森姫の死はとても悲しいし、人と自然とのあり方について考えさせられます。また、それに代わってシンボルとなった鬼ぶなの生命力あふれる姿が永く永く続いてくれることを、願わずにはいられませんね。