ナマズの祖先

2011.8.7|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

ナマズの祖先

 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

写真は「レッドテールキャットフィッシュ」という名前の、主にアマゾン川やオリノコ川流域に生息しているナマズです。日本にもナマズがいますので、その親戚筋ですね。

 

でも、よくよく考えてみると、ナマズのような淡水魚は、何故いろんな国の川や湖に住んでいるのでしょうか?ナマズの祖先は、海を渡ることができないのに、何故あちこちの大陸に広まっていけたのでしょうか?

 

実はこれは、単なる素人の疑問ではなくて、進化論上の大きな謎の一つだったんですね。

 

その謎に、最近すごい速さで進化しているDNA分析による研究が、ひとつの答えを出したそうです。発表したのは東京大学大気海洋研究所他からなるチームです。

 

今回の研究では、淡水魚約1万2千種の三分の二を占めているというコイやナマズなどの仲間のうち、代表的なもの66種についてそのミトコンドリアDNAを分析し、コンピュータ解析によってその進化の道筋をさかのぼったとのこと。いや、そんなことができるというのがまず驚きですね。

 

その結果がこれまた凄い。これら66種の淡水魚は、約2億5千万年前に海水から淡水へと適応した、たった1種の魚から別れて進化したものだ、というのです。

 

実はここで、その「時期」が冒頭の疑問への回答になっていました。ご存じない方には信じられないことかもしれませんが、2億5千万年前には、今地球上に広がっている大陸は、全てひとつだったんです。その名を「超大陸パンゲア」と言います。陸ひとつ、海ひとつ、しかない時代というのが、はるか昔にはあったんですね。

 

そして、この淡水魚となった元海水魚は、パンゲアに住んでいて、川や湖といった淡水のつながりを介して、徐々に広がっていったと思われます。そして、パンゲアが大陸移動によって分裂を始めた頃(約2億年前)には、4つの種に進化し、枝分かれしていた。

 

その4種もDNA解析でわかるのですね。それらは、現在の淡水魚のうち主要なグループと言えるコイ、ナマズ、ピラニア、デンキウナギのそれぞれ祖先なのだそうです。

 

そしてこれらの種は、大陸が移動し、分裂していくと共に、それぞれの大陸へと分布することになった、ということが、今回の研究で明らかになったわけです。

 

う~む、あまりに壮大な進化のドラマですね。海を渡って、ではなくて、元々住んでいた川や湖を含む地面が割れて、別々の大陸になっていった、ということなんですから。壮大すぎて頭がくらくらします。

 

でも、ドラマとは言っても、実際には大陸移動やこのような生物の進化というのは、途方もない長い長い時間をかけて、少しずつ少しずつ進んでいくものです。2億5千万年前と言われても、ほとんど想像を絶する話ですよね。

 

だからでしょうか。私は、このような進化のドラマの話を知るたび、訳もなく感動します。その時間の途方もない長さと、小さな変化が結果として進化という大きな大きな生命の川の流れをつくっている、ということに。

 

そして、人間という種が今地球上で隆盛を誇っているというのも、まったくの偶然なのだ、ということを思い知ります。