白扇潮招

2011.9.3|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

ハクセンシオマネキ

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

今日のタイトル、おいおい漢詩でも詠むのか?という感じですが、そうではありません。今日の主役、画像の蟹の名前を漢字で書くとそうなるんです。「ハクセンシオマネキ」という名の、蟹なんですね。

 

このシオマネキという蟹、片一方だけ物凄く大きなハサミが、何と言ってもその特徴です。これはオスだけのもの。私、子供の頃に初めてこの蟹の姿を見てショックを受け、それからずっと、私にとってシオマネキは気になる存在なんです(笑)。

 

この大きなハサミを振り回す「ウェービング」という動作が、海の潮をこちらに招いているようだ、というのでこの名が付いたんですね。中でもこのハクセンシオマネキは、体は小型の種ですが、繁殖期の6~8月になると、オスの体は綺麗な乳白色に変わり、そのハサミを振る姿がまさに白い扇を降っている様子に見えることから、こんな何とも美しい名になったとか。

 

こういう生き物の名前を見ても、私は日本語の素晴らしさというものに感動してしまいます。

 

では何故、シオマネキは片一方だけハサミが大きくなるのか。これは、やはり繁殖行動と結びついていると言われます。鹿の角と同様、オスが自分の力を誇示するために使われていると。

 

そして、実は「潮招き」のウェービングは、実は潮を招いているわけではなく、メスへのアピール行動なんだそうです。大きなハサミで力を示し、自分の巣穴に誘っているんです。本当は「メス招き」なんですね!

 

実はこのハクセンシオマネキ、環境省レッドリストに載っている絶滅危惧種なんです。都市近郊での河口域の干拓や、水質悪化などの環境汚染などが災いし、その生息地が減少したのが原因でした。2006年のレッドリスト改訂では絶滅危惧II類(VU)となっています。

 

ところが、今日私が久しぶりにハクセンシオマネキの勇姿を見たその記事では、姫路市の東部を流れる市川の河口付近で、ハクセンシオマネキの生息が確認された、と報告されていました。長らく見られなかったその姿がまた現れたのは、海や川の水質などが改善され、環境が整ったためであろう、と。

 

こういうニュースを見ると、少しずつでも自然が帰ってきていることを感じて、嬉しくなりますよね。それ以上に、環境の悪化に耐えながら、シオマネキよ、よくぞ生き残ってくれていた!そういう気持ちになって、今日は何だか高揚してしまった私なのでした。

 

 

追伸 : 今日は台風で大雨。姫路の川のシオマネキも、巣穴でじっと耐えているんでしょうね…。