仮想病院

2011.11.20|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

仮想病院

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

以前、このブログで「遠隔医療」のことを書きました。

http://yamaguchi.kjworks.co.jp/2011/05/post-346.html

 

情報通信機器を活用して、遠隔地間での医療情報、あるいは心電図や脳波などの生体情報をやりとりし、実際の現場のみで得られる以上の高度な医療行為に結びつけようという試みについて書いたんです。

 

そして、それに対する法規制緩和がようやく日本でもおこなわれ始めている、ということも。

 

しかし、この分野での先駆者であるアメリカでは、既に遠隔医療システムはもっと先へ進んでいるようです。そしてついに、あと3年もしないうちに、遠隔医療専門の病院となる「仮想病院(バーチャル・ケア・センター)」が誕生する、ということが発表されました。

 

これは、アメリカのアーカンソー州などに、30もの病院をもっている医療機関「Mercy」が、ミズーリ州に2年半後に開設するもので、同機関が現在おこなっている各種遠隔医療関係のプログラムが、すべてこの仮想病院に統合される計画だそうです。

 

仮想病院といっても、実体(建物)は存在しています。しかし、一般的な病院ではなく、Mercyが擁する病院、診療所、そして患者の自宅が、すべてこの遠隔医療技術によって結ばれていく。この施設は、その中枢拠点になるといいます。

 

ある場所にいる患者を、別の場所にいる医師が診断する。あるいは複数の病院の集中治療室(ICU)をセンターで集中管理する。母親が自宅から子供の病状について、センターの医師にテレビ電話で相談する。入院するまでではないが健康問題を抱えている人の体調管理を、センター側でおこなう。

 

そういった、患者側の生体情報と、医師側の医療情報が常にオンラインで結びついている状態。それこそがこの施設の本来の姿なのですね。建物はそのために必要な二次的なものでしかありません。まさに、仮想病院です。

 

しかし、私が思うに、このような取り組みだけでは医療というものの全てはとてもカバーできないですね。やはり人間同士が顔を合わせ、肌を触ってみてこそわかる情報伝達もあるし、そこでしか伝わらないものもあるでしょう。

 

ただ、それが叶わない状況の中で、今までどれだけ多くの生命が失われたか、あるいは危険に晒されたか。自然災害の場合にはありがちなことですし、急患を病院側が受け入れず、たらい回しにされたなどという話は、我が国ではよく聞くことですね。

 

そのような、今までカバーできていなかったエリアまで、医療というものを行き届かせる。その裾野を広げる。それを実現するものこそ、これだと思います。病院を増やすということではなく、情報通信技術を最大限に活用して「差し伸べる手をより遠くへ」ということですね。

 

遠隔医療、そして仮想病院のプロジェクトは、病院というものはこれからそのように置き換わっていくべき、というものではなく、従来の医療のあり方と並行して、たくさんの医療施設が役割分担をする、そのサービスの拡張を実現するものだと思うのです。

 

我が国の医療も、先述の規制緩和をきっかけとして、そのようなサービス拡張への道を進んでほしいものですね。