狭くなった世界

2011.12.4|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

狭くなった世界

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

私は最近、Facebookを使っています。これは、家を建ててくださったお客さま方や、工務店のお仲間たちと、電話でもない、メールでもない、気軽なコミュニケーションをとるのに、とてもいいツールだと感じています。

 

このFacebookというものによって、「世界が狭くなっている!?」という調査結果を知りましたので、今日はそれを取り上げます。

 

社会学の世界で、1967年に発表された「六次の隔たり」という仮説があります。これは、知り合い、その知り合い、そのまた知り合い、という風に、6人以上を間にはさむと、人は世界中のあらゆる人と間接的なつながりができる、という説です。

 

この説を提唱したのは、スタンレー・ミルグラムという社会心理学者でした。この説は、単なる思考の産物ではなく、実際におこなわれた実験の結果を元につくられた仮説だったというのが、とても面白い。その実験とはこういうものです。

 

多くの被験者に、ある手紙を送ります。そこには写真が同封されており、手紙にはこう書かれています。

「同封した写真の人物はボストン在住の株式仲買人です。この顔と名前の人物をご存知でしたら、その人の元へこの手紙をお送りください。この人を知らない場合は、貴方の住所氏名を書き加えた上で、貴方の友人のなかで知っていそうな人にこの手紙を送ってください。」

 

この手紙の総発送数のうち約26%が、ボストン在住の株式仲買人の元へ実際にちゃんと届いたといいます。そして、届くまでに経た人の数の平均数が、5.83人だったのですね。そこから「六次の隔たり」という仮説が生まれたというわけです。

 

なるほど、この実験結果が全ての「知り合い」関係に敷衍できるのかどうかは、実際にはわかりません。しかし、人間の交友関係というものにおいて、世界は思ったよりも狭いのではないかというこの説は、大変興味深いものだと思います。

 

さて、肝心のFacebookkですが、この7億2,100万人にのぼるユーザー全体を対象とした調査によると、Facebookにおいては「四次の隔たり」で全ユーザーが「友達」になるのだそうですね。

 

Facebookの場合は、誰と誰が「友達」であるか、というのは、すべてデータとして登録されていますから、ミルグラム博士がおこなったような実験は必要なく、登録内容をチェックすることで結果が如実に表れますね。

 

全ユーザーが、たった四次の隔たりで「友達」としてつながるというのも驚きではありますが、私としては、それが即ち「さらに世界が狭くなっている」ということにはならない筈、という感想を抱きました。

 

というのは、実際には知らない人間同士が「友達」であるということがFacebookの世界ではあたり前にあるからです。それも含めて、「ネット上の関係としては四次の隔たりでつながり得る」というのなら意味はわかりますが、それがそのままミルグラム博士の実験結果とは比較の対象にはならないでしょうね。

 

実際に知っている人同士がどれだけFacebookで「友達」であるか、そうでないネット上だけのものはどのくらいか、というのは、実際には調査のしようがない内容ですから、まあ仕方が無いとも言えます。

 

もし、その分を実際に知ることができ、それを差っ引いた値が、実はやはり「六次の隔たり」である、ということになれば、逆に大変面白いですね。

 

「世界は思ったより狭い」というのは、何となく誰もがぼんやりと思っていることのように思います。実験の結果が正しいのかどうかは別にして、「六次の隔たり」仮説は、その何となくの実感に形を与えてくれるという意味で、人々がどこかで望んでいる理論なのではないか。

 

私には、そのようにも思えるのであります。