小さなEV

2011.12.5|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

なかなか美しい写真ですね。写っているこの、変わったドアの開き方をする小さな車、これでもチャンピオンなんですよ。

 

この車『Lilliputian T.27』は、「最も少ないエネルギーで走るレース」である『Future Car Challenge』で、見事優勝を飾ったEV(電気自動車)なんです。

 

このレースは、ブライトンからロンドンまでの約92kmの行程を、一定の時間内にどれだけ少ないエネルギー消費量で走り切るかを競います。このEVはそれを7kWhの消費電力でゴールしました。燃費で計算するとリッター約120km相当という、素晴らしいエネルギー効率を達成したものです。

 

このEVを開発したのはゴードン・マレー氏。氏はF1マシンのデザイナーとして名を馳せた人物です。F1の世界から引退後は、このような高エネルギー効率の車の開発に邁進しておられるようです。

 

氏の考えでは、燃費をよくするのに最高の方法は重量のカットだとか。重量が半分になるとバッテリーのサイズも半分にできるといいます。このT.27は全長が250cm、幅130cmとずいぶん小さく、重量はバッテリー込みで680kg!それはこの信念から来ているのですね。これでも3人乗りなのだそうですよ。

 

マレー氏は、このような「小さなEV」がこれからのシティカーのあるべき姿と考えて、小さくても危険でない、軽量かつ丈夫な車体の開発や、その製造段階でのエネルギー消費も削減できるような革新的な製造方法の提案をしておられるんです。

 

私が思うに、それはかつてF1という極端なエネルギー消費の世界にいたことと無関係ではないのでしょう。

 

自分が取り組んだある意味異常な世界から、その反動とも思える方向性へ。そこにF1デザインで培った軽量化の技術を盛り込み、工夫し、超省エネルギーの車へと昇華させる。

 

それはゴードン・マレーという人が、本当に自動車というものを愛しているから。この車を見ると、そのことがとても伝わってくるように思います。