迎えにくるキーボード

2011.12.16|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

見えなくてもタイピング

ご愛読、ありがとうございます。

 

今日は、障害者の方へ情報技術が歩み寄る、とてもいい事例を。

 

iPadなどのタブレット機器では、物理的なキーボードがありません。画面にキーボードが表れて、それを触ることでタイピングが可能になるのですね。

 

健常者にはそれで問題ありませんが、視覚障害者の方々には、このような機器は全く「触る手がかりがない」ため、使うことが出来ませんでした。

 

視覚障害者のためには、スクリーンの文字を読む機能と、そして点字入力用のキーボードをもつ特別設計のパソコンが必要とされていたんです。

 

しかし、これから徐々に主流になると言われているタブレットPCにもそのような視覚障害者対応があってほしいし、できれば全く同じ機器で、アプリケーションによる工夫でそれが可能になるなら、それが一番ですね。

 

そして、遂にそのハードルを乗り越える、画期的なアプリケーションが登場しました。この新しいタッチスクリーンを使った点字ライター・アプリは、何と「タイピングする指先の位置にキーが迎えにくる」のです。

 

点字キーボードは、8個のキーからなっています。点字を組むのに必要なキーが6つ、改行とバックスペースで、8つです。8本の指を画面の上に置くと、その指の下にキーが配置され、手を離してもう一度置くと、またその位置にキーがくる。

 

これはまさに、逆転の発想ですね。「キーの位置をわからせる」ことから、「押した位置がキーになる」という。手の大きさや、その置く位置を問わず、画面であることが触ってわかりさえすれば、点字の入力が可能になるのです。そして打った点字を音声で読み上げ、点字の文章が完成していきます。

 

これで「特別設計」でなく、普通の同じタブレット機器で、アプリを入れれば視覚障害者用の点字ライターになる、ということが実現します。視覚障害者用特別パソコンとくらべて、ハードが同じということのコストダウン効果は大変に大きいでしょうから、費用というハードルを越えて一気に普及が進むことは、とても喜ばしいですね。

 

でも、私はこの話を読んで思いました。これって、視覚障害者の方々だけではなく、「キーボード入力」というものを一気に変革させる可能性を秘めた、とんでもない発明ではないのか?と。

 

ハードウェアとしてのキーボードは、いわゆるQWERTY配列が一般的です。でも、画面に現れるバーチャルのキーボードなら、それに縛られることはないですね。しかも、キーが迎えにくる技術があれば、もっと違った有効な入力方式がありえるのではないか、そう感じられます。

 

その方式とはおそらく、数多ある言語のそれぞれによって、少しずつ違うものだと想像できます。日本語には日本語の入力に特化した「迎えにくるキーボード入力」。

 

そんなものが、そのうち登場するかもしれない。そんな予感がするような、大変興味深い話でありました。