真冬を避けた蛾

2011.12.19|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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ご愛読、ありがとうございます。

 

ここのところ、冬らしい気候になってきました。寒さの中、年末のバタバタに突入しそうな今日この頃です(笑)。

 

今日は、その寒さによって、まさにダーウィンの進化論が現在進行形でおこなわれている、というお話です。

 

写真の蛾は、「クロテンフユシャク」という種です。この蛾は、冬に繁殖するというライフスタイルなのですが、しかしあまりに寒い場合は、活動をやめるという特徴があるのだそうです。

 

生息している場所の平均気温が氷点下になったり、積雪があったりする年の場合、その活動時期が、真冬を避けた初冬と晩冬とにわかれてしまう、ということのようです。

 

そうなると、「初冬型」と「晩冬型」の間には時期のズレがあるため、交配がおこなわれなくなります。

 

そしてこのたび、京都大学の研究チームがつきとめたところによると、繁殖期が分断されてしまった「初冬型」と「晩冬型」は、ついに別の種、違う蛾へと進化しつつあるとか!

 

両者のミトコンドリアの遺伝子配列を調べた結果、既にもう異なる配列になってしまっていた、というのです。まさにこれは、別の種への進化の始まりだと言えます。

 

長い長い交配の歴史の中で、遺伝子配列がほんの少しずつ変化していくこと、その微細な変化の積み重ねが、「進化」というものですが、なるほど、「種が別れる」とは、このようにして起こっていくのですね。

 

ヒトという種も、コーカソイド(白色人種)、モンゴロイド(黄色人種)、ネグロイド(黒色人種)に分かれていますが、この分化は主に、「場所による隔離」によるものだと私は理解しています。

 

しかし、昆虫のような短い一生、短い繁殖期のものには、このような「時期による隔離」というものもあり得るのですね。

 

遺伝子配列がどの程度違っていれば「別の種」になるのか知りませんが、私が生きているうちに、この2種類の蛾には、また別の名前がつくのかなぁ。そうなれば、まさに「進化の目撃」だなぁ。すごいなぁ。

 

なんて、そんなことを夢想したりする、寒い冬の日でありました。