シーラカンスのいる世界

2011.12.31|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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ご愛読、ありがとうございます。

 

今日は大晦日。今年も一年が終わり、明日からまた新しい年を迎えますね。

一年の終わりに、私たちが住んでいる地球環境について思いを馳せるような話を書こうと思います。

 

恐竜が生きていた頃とその姿が変わらずに、今も種として存在することから、「生きている化石」と言われるシーラカンス。この希少な生物の全ゲノム塩基配列の解読が成功したそうですね。

 

このシーラカンス、1938年に南アフリカ共和国の河口で発見されるまで、古代の生物だと思われていました。ところが、化石で見つかるものとほとんど変わらない個体が生きたまま発見され、大ニュースになりました。生物の進化の中でのその位置づけについても長く研究が続けられてきましたが、今回のゲノム解読で、ひとつの大きな成果があったようです。

 

シーラカンスのゲノムサイズはおよそ27億塩基対。これは、我々人類を含めた哺乳類に近い数字で、一般的な魚類の3倍もあるのだとか。またそのゲノム中の遺伝子情報についても、魚類タイプのものと四足動物タイプのものを合わせもっていることが判明したといいます。

 

これによってわかることは、シーラカンスは、魚類が四足動物として陸上へ進出するその境界の生物だということ。今まで魚と陸上生物の間の生物についてはほとんどわかっておらず、いわゆる「ミッシングリンク(失われた環)」とされてきた、その失われた部分を埋める可能性のある、大発見なんですね。

 

今回の発見で、シーラカンスが進化の鍵を握る生物であり、重要な研究対象であることがわかりました。まさに、「よくぞ生きていてくれた」ということです。

 

私は、シーラカンスの話題が出るたびに、そのような何億年前から変わらない生物が生きていること、その生物多様性の素晴らしさ、それを可能にしているこの地球の自然環境のことを、強く思うのです。

 

今回ゲノム解読に使われたシーラカンスの個体は、雌の体内にいた稚魚で、ワシントン条約に基づいて許可を得た後に国内に輸入したものだそうです。絶滅危惧種であるシーラカンスの捕獲は、同条約で厳重に禁止されているんです。

 

生物多様性を守るためには、このような種の保護も大切です。しかし、もっと大切なのはその棲息環境の保護だと言えます。

 

今回のゲノム解読個体は、最近発見されたタンザニア北部のシーラカンス繁殖集団の中にいたものですが、この棲息域の近海では今、世界有数の埋蔵量を持つ海底天然ガス田が発見されて、その事業化の計画が進められているといいます。

 

またも、経済原理の名の下に、貴重な「生きた化石」の棲息環境が破壊されるようなことは、もうあってはなりませんね。

 

生物多様性を担保するための自然環境の維持保全こそ、今これから我々人間のやるべきことだと思いますし、それを可能にするための自然エネルギー活用技術や緑化技術、食料生産技術といったもの、それこそが我々自身がこれからも持続可能な社会を維持していくために大切なもの、自分たちを守ることに繋がるのではないでしょうか。

 

他の生物を守る、そのための環境を維持することは、結果的に人類を守り、豊かにするはず。

 

私は、木の家づくりもささやかながらその一助になっていると思っていますし、その点では誇りをもって日々の志事をしているつもりです。来年も引き続きそういう姿勢を続けていきたいですし、このような自然や環境の問題については、常にアンテナを張っておき、このブログで取り上げていきたいと思います。

 

 

本年一年、ご愛読どうもありがとうございました。来年もよろしくご愛顧のほど、お願い申しあげます。