神様が渡る

2012.2.5|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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ご愛読、ありがとうございます。

 

今年の冬は久しぶりに寒さが厳しく、各地で大雪などの被害が相次いでいます。それはとても痛ましいことですが、一方で、寒さが厳しいが故の冬の風物詩、というものもあるのですね。

 

画像は長野県の諏訪湖。厳しい冷え込みが続くと、湖面に張った氷に割れ目が入って、それがせり上がって氷の筋となる現象が起きます。これは昼夜の寒暖差で氷が収縮・膨張を繰り返した結果として起こるものだそうです。

 

これを地元では「御神渡り(おみわたり)」と呼んでいます。神様が湖面を渡った跡、ということですね。まさに諏訪湖の、冬の風物詩といえるものです。

 

諏訪大社には上社から下社があり、御神渡りは上社から下社に向かって伸びるのだとか。そのため、上社の男神、建御名方神が下社の女神、八坂刀売神に逢いに行った跡とも言われているそうです。

 

湖面の氷を、見えない神の通った跡として崇めるところに、日本人の素朴な自然信仰を見る思いです。しかもそれを「恋路」に見立てるなんて、なかなかロマンチックな話ではないですか。現象そのものも、とても美しいですし、それもわかるような気がしますね。

 

御神渡りについては、地元の八剱(やつるぎ)神社が、その現象かどうかの判定と、それに伴う神事を司っています。しかしここのところ、温暖化の影響でしょうか、諏訪湖の全面凍結が起こりにくくなっていて、近年は発生が確認し難くなっていたのだそうです。

 

しかし今年は冒頭の話の通り、久しぶりの寒い冬。そして、立春の4日、ついに御神渡りの発生が確認されました。これは、実に4年ぶりのことなのだとか。

 

御神渡りが起きると、八剱神社ではそれを受けて神事が執り行われます。それは、その氷の亀裂の状態で、今年1年の天気や農作物の出来を占う『拝観式』という神事です。

 

ということは、この神事も4年ぶりに執り行われるということですね。神職の方々も、久しぶりの御神渡りに嬉しいやら、ほっとするやら、というお気持ちではないでしょうか。

 

やはり、冬は冬らしく、寒さ厳しいというのが、八百万の神々と暮らす日本人にとって、あるべき姿なのかもしれません。