顔色を見る

2012.2.26|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

顔色を見る

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

この画像、何でしょうか?女性がペットボトルのジュースをコップに注いでいます。そこになにやら色のついた丸が、点々と。

 

この色のついた点、それはこの映像を見ている「眼」の痕跡なんだそうです。これは、霊長類の進化の研究における、ひとつの実験結果なんですね。

 

左は人間の乳児が映像を見た時の視線の位置、右がチンパンジーが同じく映像を見た時の視線の位置です。

 

チンパンジーの視線が、動いている手やペットボトルまわりに集中しているのに対して、人間の乳児の視線は、「顔」にも分散しています。約半分の時間を、「顔を見る」ことに費やしている、という実験結果だったそうです。チンパンジーがジュースを注いでいる映像を見た場合でも、それは同じだったといいます。

 

ここから、このようなことが推測できます。人間の乳児は、他者の顔を見、その心の状態も読み取りながら、人の行為を理解したり、物事というものを学んでいくのであろうと。

 

それは、チンパンジーにはない能力、ヒトとチンパンジーが進化の過程で枝分かれした後、人間が独自に獲得した能力なのではないかというわけです。なるほど。とても興味深いですね。

 

この学びのスタイルはおそらく、人間が築いてきたチンパンジーよりもさらに複雑な社会、その中での他者との共生環境に適応したものなのだろうと、この実験をおこなった研究者は結論づけています。

 

ヒトはサルとどう違うか。道具を使う、言葉を使うなど、色んなことが言われていますが、他者の気持ちを推し量るために「顔色を見る」ということも、人間に特徴的な行為なんですね。

 

そして、人の乳児がそのようにして物事を学ぶ、ということは、我々は子供たちにきちんと「顔色を見せる」べきである、きちんと顔を向けて子供たちと向き合う必要がある、ということにもなります。

 

何だかこの話、単なる進化の研究成果というだけでなく、それ以上に、人間というものを理解するためにとても大事な示唆を含んでいるような気がしてなりません。