氷河期の花

2012.2.28|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

氷河期の花

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

ご覧の画像、何とも可憐な花ですね。ナデシコ科のスガワラビランジ(学名:Silene stenophylla)という花だそうですが、今あるスガワラビランジとは、花の形が異なっているんです。

 

それもそのはず、実はこの花は、驚くなかれ、今から3万年前の氷河期に咲いていた花だというのです!すごい、生きた化石どころの話ではありません!

 

この「奇跡の花」の種は、シベリアの永久凍土の地下38メートルから掘り出されました。氷河期に暮らしていたリスが餌を貯めていた穴から見つかったそうです。

 

もちろん種は化石化しているのですが、その中で奇跡的に、発芽能力を持つ組織を残していたものがあったといいます。その凍結した種子から組織を抽出し、培養容器内で見事発芽させることに成功!いや、まさに素晴らしい快挙ですね。

 

約3万2000年前の種子から花が咲いた。ちなみにこれまで発芽、生育に成功した種子は2000年前が最古だそうで、その記録が3万年近くも更新されたのだとか。

 

今回の成果が意味するもの、それは、凍結保存という方法であれば3万2000年もの間、種子を保存しておける可能性がある、ということです。

 

以前このブログで、「種の保存、種(たね)の保存」と題して、未来へ種子を残すプロジェクト、スヴァールバル種子貯蔵庫のことを書きましたが、これらの種子貯蔵庫は、基本的に凍結保存を前提としているんです。 http://yamaguchi.kjworks.co.jp/2011/10/post-448.html

 

種子の凍結保存、その後の解凍、そして発芽。その方法論を確立するための知見が、今回の「奇跡の花」が残った条件の分析から得られるのであれば、それは人類にとって非常に大きな成果だと言えますよね。

 

「奇跡の花」は、人類の恩人になり得る可能性を秘めている。そう思ってこの花を見ると、美しさもひとしおであります。

 

 

※ちなみに今回の成果からはもうひとつの可能性が示唆されています。それは、永久凍土の中には、種子以外にも保存されている古生物の遺伝子が存在し得るのではないか、ということ。もしかしたら、絶滅した古代の生物が復活するかもしれない。そちらもかなりエキサイティングな話ですね!