氷は河だった

2012.4.6|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

氷の河

 

ご愛読、ありがとうございます。

写真は、富山県の北アルプス立山連峰で撮影されたものです。この雪原のように見える場所、今日はここで定説を覆す発見があったというお話です。

 

この立山連峰のように、標高が高い山の谷の部分や沢の辺りで、夏でも雪が残っている場所のことを「雪渓」と呼ぶのだそうですね。そしてこの雪渓の下には、雪が固まった氷が大量に存在しているのです。

 

立山連峰では、冬の降雪量が非常に多く、また夏季の気温も低いことから、雪が氷となって残りやすい条件が整っています。そして以前からこの大量の氷は、もしかしたら氷のままで動いているのではないか、と考えられていたそうです。動く氷、そう、これは「氷河」なのではないか、というわけですね。

 

氷河だったら何なのか、と素人は思いますが、実はこの日本が存在する極東地域で、ロシアのカムチャツカ半島以南には今まで氷河は見つかっていないのだとか。

 

そしてこのたび、以前から「そうではないか」と思われながらその確証が得られていなかった立山連峰の氷河が、最新の調査によってその証拠を得、学会で正式に認められました。その世界では、たいへんな快挙と言える発見なのです。

 

ちなみに「氷河」として認定される条件とは、「氷の塊(氷体)が重力によって1年以上流動すること」だそうです。今回の調査は、全地球測位システム(GPS)を使ったもので、立山連峰のうち剱岳の三ノ窓雪渓と小窓雪渓、雄山の御前沢雪渓、合わせて3つの雪渓の氷体の動きを観測したもので、1ヶ月あたり10~30センチの移動があったといいます。

 

今回の認定をおこなった日本雪氷学会によると、「ロシア・カムチャツカ半島以南の東アジア、日本のように温暖なところで氷河の存在を確認するのは、大きな発見」だそうで、「最新機材を使って氷塊の動きをより具体的に調べており、研究価値が高い」とも。

 

日本にも氷河があった。この発見を知って、あらためてこの国がもつ気候の多様性に、感心しきりです。6つもの気候区分をもち、オホーツクから石垣島まで、とても同じ国とは思えないほどに違った風土をもつ国なのですね、私たちの日本は。

 

海に囲まれながら、中央部には氷河さえも存在するような切り立った山々をかかえる国。海の国であり、森の国であり、山の国であり、そして四季の国でもある、日本。

 

何となくあたり前になってしまっているそのこと、その凄まじいまでの多様性を、このようなニュースを知ることで再認識できます。自然の恵みというものに目を向ける契機となる、いい話でありました。