氷の底の湖

2012.4.11|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

20090415VostokStation02

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

皆さんは、「誰もまだ見たことがない巨大な湖が地球上に存在する」と言われたら、どのように思われますか?今回はそんな湖のことを少し。

 

「ボストーク湖」という名のこの湖、上のイラストの通り、なんと南極大陸の氷の底にあります。厚さ4000m近くにもなるとんでもなく分厚い氷の下に、琵琶湖の約20倍という巨大な湖が存在しているんです。

 

その大きさは、幅40km、長さ250km、最深部で深さ約800m、総面積は1万4000平方キロもあるそうですが、氷の底ですから、当然、まだ誰もその姿を見たものはありません。では、この湖はどのようにして発見されたのでしょう?

 

1989年、ロシアの南極観測所で、「南極の氷床の状態から地球の気象変化の歴史を探る」というプロジェクトが発足したのだそうです。その調査のため、氷床が深く深く掘り抜かれていったのですが、その氷の状態が深さ3500m辺りで変化したのだとか。それより上の「雪が固まった氷」とは違うそれは、「湖の水が凍った氷」だとわかったんですね。

 

こうして、1998年に見つかった「氷底湖」は、ロシアの観測所「ボストーク基地」の名をもらったのです。そしてその後、音波や電波を使った調査で、その規模がわかってきたというわけです。

 

このボストーク湖は淡水で、その水の温度はマイナス3度。しかし、厚さ4000mの氷が上に載っているその圧力は凄まじく、そのために水が凍らないのだそうです。水は凍ると膨張しますが、氷の重みがそれを許さない、と。凄い話ですね。

 

そして今年の2月、ついにボストーク湖に掘削のドリルが到達したというニュースがありました。年内にはボストーク湖の水のサンプルが採取できるということで、生物学の世界ではかなり注目されているようです。なぜなら、この湖水からは、未知の生命体が発見できる可能性があるからです。

 

ボストーク湖が氷の底に閉じ込められたのは、およそ100万年前だといいます。それほどまでに長く隔絶された環境のもとでは、おそらく地球上のどことも違う生態系が生まれているかもしれない、というわけですね。

 

低温、超高圧の過酷な環境ではありますが、海底6000mにも深海魚がいるのですから、何があるかわかりません。ペテルブルク核物理学研究所の生物学者いわく「地球上の生命とは似ても似つかない生命体が見つかるのではないか」とのことですから、いやあ、ドキドキします!

 

誰も見たことがない氷の底の巨大湖。その生態系や如何に。地球環境がもつその多様性に、さらなる一ページを加えてくれることを、私、とても期待してしまいます。