初めての「電話」

2012.4.13|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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ご愛読、ありがとうございます。

 

今日は、携帯電話のある機能がなくなりつつあることと、その弊害について、とても考えさせられた記事を取り上げます。

 

その機能とは、「テレビ通話」。お互いの姿を画面に映しながら電話ができる、というものですね。そう言えば、一時は大きくPRされていたように思います。

 

NTTdocomoの場合、2001年のサービス開始当時は、ほとんどの携帯電話に搭載されていた機能のようですが、昨今は機能が省かれる傾向が強まっていて、特に現在の主力機種であるスマートフォンには対応機種はない、とのこと。

 

徐々に削減されていった理由としては、自分自身の姿の後ろに部屋の様子が映ってしまうなど、プライバシーの問題があったようです。結果的には人気がなかったのですね。機種が減っているのは携帯キャリア各社とも同様のようです。

 

しかし実は、この「テレビ電話機能」が、豊かな生活になくてはならない、という人がいて、この機種数減少に困っておられるのですよ。それは、聴覚障害者の方々です。

 

聴覚に障害をもつ方々にとって、このテレビ電話機能が登場する前、携帯電話とは「メールする機械」だったわけです。ところがこの「画面に相手の姿が映る」という機能が大きな変革をもたらしました。

 

画像を送ることで、手話をそのまま相手に届けることができる。まさに「会話」ができるようになったんです。これは、聴覚障害者の方々の生活に大きな利便性と、初めて「電話する楽しさ」をもたらした、素晴らしい出来事だったんですね。

 

ある聴覚障害者の方の言葉です。いわく「健常者と同じように、私たちも手話でジョークを飛ばしたり、怒りをぶちまけたりする。感情を伝えるのにテレビ電話は欠かせない」と。

 

障害者の方のクオリティ・オブ・ライフを大きく高めることの出来たこの新機能が、一般の利用低迷を理由に削減されていきつつあることは、当事者にとっては、大変深刻な問題なのです。

 

携帯キャリア各社は、このことをよく肝に銘じて、障害者の立場を忘れずに事業を展開してほしいものですね。キッズケータイや老人用の見やすい携帯などもあるのですし、一度は実現した機能なのですから、それを主としたスマートフォンをつくることだって、技術的には全く問題ないはずです。

 

とにかく、数の論理、売れ筋のみに偏るような事業方針では、このような少数派の「技術が暮らしの質を高める」素晴らしい事例には光が当てられず、ないがしろになってしまう。それは、非常に哀しいことですから。

 

幸いiPhoneには、「FaceTime」というテレビ電話機能が登場したようです。これに続く機種が続々と増えることを期待します。