種子に学ぶ

2012.4.15|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

種に学ぶ02

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

ご覧の画像は、楓(かえで)の種子です。このように羽根が付いていて、風にのってくるくると回りながら移動していきます。種を少しでも遠くへ飛ばすための、植物の知恵なんですね。何とも美しい形ではありませんか。

 

この自然界の素晴らしい「かたち」から着想を得て、今までにない性能の機器が生まれたという、今日はそんなお話です。

 

この楓の種子から学び、生まれたものというのは、実は風力発電のための風車なんです。今までのねじれたプロペラ型の羽根ではなくて、種子の羽根のように長く、ねじれておらず、端部が少し曲がった形状をしています。こんなものです。

種に学ぶ

 

なるほど、確かに今までとは全く違う羽根の形ですね。新発明の風車をもっておられるのが、開発した福島大の島田教授です。教授が紅葉狩りの時に見かけた楓の種子、その回りながら落ちる様子が、開発の発端だそうです。おそらく頭の上にピカっと電球が光ったのでしょうね!

 

この「楓の種型小型風車」、今までなかったその羽根の形状により、画期的な能力をもっています。それは「弱い風で発電できる」ということ。風速3~5メートルという低風力でも、よく回るのですね。弱い風の時の回転数は、従来のプロペラ型風車の十数倍にも及ぶというから凄い。回転数が多ければ、発電量も多いわけですから。

 

このことから、どのような活用法があるか。従来のプロペラ型風力発電は、「大型のものを、風の強い場所に建てる」という発想でしたが、それとは全く違う考え方が生まれます。「小型のものを、ごく一般的な地域に数多く建てる」ということ、すなわち、家庭用の風力発電に最適、ということなんですね。

 

また、今までのプロペラ風車は「揚力型」という方式で、この場合、回転時の騒音が問題になりがちだったのですが、この「楓の種型小型風車」は風が羽根を押す力を利用した「抗力型」と言えるもので、音の発生も非常に少ないそうです。

 

さらに、プロペラのようにねじれていないということは、その制作が容易ということにもなります。鉄板を曲げて、少し傾けて取り付けるだけというシンプルなつくりですから、手間をかけずに量産が可能。ということは、コストダウンが図れるということにもなりますね。

 

いや、どの特性をとっても、実に「一般家庭向き」と言えそうな新型風車です。現在特許出願中というこの風車、各家庭での風力発電普及に向けて、非常に大きなインパクトをもった素晴らしい製品なのですね。

 

紅葉狩りでその種子の様子に開発の緒をつかんだ島田教授の観察眼、そして製品化につなげたその熱意に、心から敬意を表するものです。

 

自然界の「かたち」、そこから学ぶことで人の暮らしがよりよくなる。これも「環境共生」のひとつの在り方ですね。