樹脂の活かし方

2012.7.4|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

タッパーウェア

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

私は木の家をつくる志事をしている中で、「素材感」というものを大切にしようと考えています。木や紙、石、金属、ガラスなど、それぞれの素材感を活かした使い方、というものを心がけているんです。

 

そんな中で、「樹脂」というものはあまり私の好きな素材ではなく、木の家の材料としては、できればあまり使わないに越したことはないと考えているのですが、しかし、暮らしの中での「ある分野」については、樹脂が非常にその特性を活かして使われている、というのを最近再認識しました。

 

その「ある分野」というのは、キッチンでの「食品保存」というカテゴリーです。そこには、成功をおさめた大きな3つのプロダクトがあるという記事がありました。すなわち、「サランラップ」、「タッパーウェア」、「ジップロック」ですね。

 

中でもタッパーウェアは、冒頭の写真のように、食品保存の容器として、非常に広く行き渡っています。。タッパーウェアというのがそのオリジナルの製品名ですが、それ以外の追随商品も含め、「タッパー」というのは、いまや食品保存容器の代名詞になってしまっていますね。

 

名称の元になったのは、開発者の名前です。アール・S・タッパー氏は、1942年に最初のキッチン用食品保存容器を考案しました。その密封式の容器は、大戦中の食糧難の中で食品保存の必要性を感じて考案されたもの、といわれているそうです。

 

タッパーウェアは、非常に単純な形状を用いながら、プラスチックというものの特性をよく活かして、その密封性を保つことに成功しています。その特性とは、常温でも若干の柔軟性をもつ、ということです。

 

その特性を活かして、タッパーウェアでは「ふた」のほうが、ほんの少し容器本体よりも小さくつくられているといいます。それをぐっと力を入れて延ばして嵌め込むことで、その部分に気密性を生じさせるというデザインなんですね。

 

考えてみれば、これは他の素材にはなかなかできそうでできないこと。樹脂を活かすデザインとして、とてもよく考えられています。だからこそ、膨大な数の類似商品を生んだのだと言えそうです。

 

建築の世界では、20世紀を象徴する素材は、鉄とガラスとコンクリートだと言われています。しかし、もっと小さなプロダクトの世界においては、確実に樹脂、プラスチックがその代表だと言えるでしょう。今世紀においても、それはそのまま、王座は変わらない。そう思います。

 

あとは、私としては、もう少し「素材感」というか「味」をもったプラスチックの登場を、心から期待したいところであります。