奇想遺産

2012.9.2|カテゴリー「日々の思い」|投稿者 山口敏広

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『奇想遺産 ~世界のふしぎ建築物語』 鈴木博之他著 新潮社

 

ご愛読、ありがとうございます。

 

この本、この表紙の建物に度肝を抜かれて、思わず購入したものです。この建物はフランスの中央山地にあるル・ピュイ=アン=ブレという田舎町の教会なのだそうですが、いやあ、何というか、言葉を失いますね。すごい、まさに絶景です。

 

この本は、このような奇想天外な建築物を集めたもの。古今東西の「変わった建物」が誌面を飾っています。もとは、朝日新聞日曜版の連載であったそうですね。

 

そのまえがきが、実に的を射たもので面白いのです。松葉一清氏による文章、一部引用しましょう。

 

旅とは、訪ねた土地の「奇矯な事物」を見物に出かけることに他ならない。そして、ひとは旅先で、名所旧跡を超えた自分だけの「とっておき」を発見したとき、通り一遍の観光から抜け出た快感を覚えるのである。
日々の生活では思いつきもしない「奇想」に基づいて構築された建築、記念碑、そして大地の造形。新鮮な驚きを期待する好奇心が、不思議な形を求めてやまないから、観光は今や世界の主要産業なのだ。

 

日本にある建物も、いくつか掲載されています。「奇想」と聞いて、私がまっさきに思いつく建物といえば、会津若松市にある「栄螺堂(さざえどう)」なのですが、やはり!載っていました。

 

ちょっとこの建物を文章で説明するのが難しいのですが、これは「DNAのような二重螺旋構造を木造でつくったお堂」なのです。木造で、ですよ。私は実際上がって降りたことがありますが、それを木造でつくる凄さに、頭がくらくらしました(笑)。

 

そんな、ちょっと普通じゃない建物達を見ていると、人間の想像力というのは物凄いなあ、そして、その想像力のベクトルにも、本当に様々なものがあるんだなあ、そんなことを感じますね。

 

好き嫌いはあるにせよ、そんな「突き抜けた」建物達を眺めていると、妙に愉快に、爽快な気分になってくるのです。ようし、自分もちまちましてないで、バシッといったろか!なんて。

 

その奇想に驚き、笑い、そして元気が出てくる。建築本にしては、一風変わった一冊であります。