安本の木の家づくり日誌

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リフォームやリノベーション前提で木造の中古住宅を購入する前に気を付けたい事

2021-06-11

カテゴリー「土地探しについて家づくりのヒント

投稿者 安本峰樹

木造の中古住宅を購入してリノベーションなど大規模リフォームをしたいと思われた方向けに注意点を描かせていただきます。
物件探しのポイントや不動産屋さんとの付き合い方に関しては私の土地探しのブログもご参照ください。

 
 
新築の場合の土地探しと違って、リフォームを検討する場合、既存の建物の見方も重要になってきます。
中古住宅の建て方によっては思わぬ出費ややりたいことができない場合があるためです。
中古住宅選びの際に気を付けたいポイントをいくつ上げさせていただきます。
目次
・耐震性は非常に大事
・工法によってできる事と出来ないことがある
・元の間取り意外と重要
・リフォームでは解決が難しい事
中古住宅購入のリフォームで改善してほしいポイント
リフォーム前提の古民家購入の注意点
・まとめ

耐震性は非常に大事

大きな地震が来るたびに建物に関する法律が変わっています。
中古住宅購入の際にポイントとなる法律改正は、1981年(昭和56年)の建築基準法大改正です。
この大改正は1978年の宮城県沖地震を契機に耐震性が見直されています。
今の耐震基準の元になった法律で、耐震補強では大きくこの1981年以前か以降かによって性能が変わることが多いのです。
また2000年にも改正が行われこちらは阪神淡路大震災をもとに改正されています。
中古住宅を購入する上で、建てられた年代を把握することも大事です。
建てられた年の把握には、確認済み書や検査済み書などでの把握が正確ですが、
建物の登記簿でも建てられた年代がわかります。(登記の時期により若干のずれはあると思います)
建物の耐震性の把握には、専門家による耐震診断が一番ですが、中古住宅購入までに耐震診断を行うことは難しいため、ざっくりとした想定が基本になります。

見るべきポイントは
・壁や基礎にひびが入っていないか
・屋根は瓦葺きか、スレート葺きか
・南側に窓が多くないか(壁の配置が偏っていないか)
・床が傾いていないか(スリッパを履くとわかりにくいので脱いで歩いてみる)
・床下は湿っていないか
・雨漏れは放置されていないか
・過去にリフォームをしていないか
などは下見の際にも見ることができると思います。

建物の劣化は耐震性にも影響しますので、見た目も重要です。
但し売主さんが住んでいる場合はあまり見ることもできないこともあります。
その場合は、購入の意思があればインスペクション(住宅診断)を利用するのも手です。
ただしインスペクション自体には耐震性の判断はできないのであくまで劣化度合いの把握に限ります。

工法によってできる事と出来ないことがある

木造でも在来工法の場合、骨組みの補強をすることで、間取りの変更をすることができます。
ただ2x4(ツーバイフォー)の住宅の場合は、間取り変更がかなり難しいので注意が必要です。
2x4工法は、アメリカから来た木造の工法の一つです。
特徴は、枠組壁工法と言われるように構造用合板などで壁をしっかり固めて地震に対応するという考え方です。
2x4には在来工法のような大きな柱や梁は無く、名前の通り2インチx4インチの木材を組み合わせて
壁の枠組みを作っていきます。
そのため、すべての壁のバランスにより強固な構造を保っているため、
壁を撤去して部屋をつなげるという事が難しい間取りが多いのです。
2×4自体は構造的にはかなり強い工法なのですが、間取りを変えたいリフォームを検討している場合、
中古住宅を選ぶ際に、その家の工法にも注意が必要です。

元の間取りも意外と重要

時代によって好みが変わるように、家のつくり方も時代によって変わってきます。
古くは田の字型といって、畳を襖で仕切って南側に仏間や縁側を配置し、北側に今日中スペースを設ける古民家が多かったのです。
ですが戦後は洋式化が進みフローリング敷や様式の客間を設ける廃り鵜に変わりました。
最近では、客間を改めて設けることもなくLDK一体で大きな空間を持つ家が好まれています。
そのため中古住宅を買うと元の間取りが好みと会わないことも多々あります。
リノベーションなどの大規模改修の場合、間取り変更も良く行いますが気を付けたいポイントがあります。
それは、玄関の位置と水回りの位置です。
玄関の位置を変えると道路からのアプローチが変わったり、新規に玄関を作る場合には基礎を作り直す必要があるため費用がかなり掛かります。
そのため、大規模なリノベーションでも玄関の位置はそのままという事が多いです。
という事は、玄関の位置によっては、希望する間取りが作れない、作りにくいといったことがあります。
また水回りについては、配置は変えることができますが、排水管には勾配があり
その勾配を維持しないと排水のつまりの原因になるため
場所によっては水回りの移設が難しい場合があります。
大きく位置を変えたい場合は注意が必要です。
購入する前に、工事をしてもらいたい工務店に既存住宅の間取りを見てもらって
希望する間取りにできるか確認してもらいましょう。

リフォームでは解決が難しい事

最近は技術も進んで耐震や断熱性向上はある程度向上させることができますが、リフォームでは解決が難しいことがいくつかあります。

注意点を幾つか上げておきます。
・駐車場のサイズや位置・・・減築で対応できない場合は空地を設けることは難しいです。
・道路より低い土地・・・湿気や水が入り込みやすい道路より低い低地の場合の解決は建替して地盤のかさ上げになります。
・擁壁のやり替え・・・高台にあって擁壁のすぐ近くに家がある場合、擁壁にひび割れ等があってやり替えたくても家を撤去しないと擁壁をやり替えることが難しいです。
・軟弱地盤の改良・・・地盤が悪い場合は建物の地下を掘る工法もありますが費用がかなり掛かるため、建て替えをして地盤改良をした方が良いです。
・太陽光発電をしたくて屋根の形状を変えたい・・・屋根の向きや形状を変えるとかなり大掛かりな工事になるため、太陽光発電をしたい場合は、屋根の形状があっている家を探してのリフォームがお勧めです。

以上のように敷地の形状や使い方特に高さに関してはリフォームでの解決は難しくなるため注意が必要です。

中古住宅購入のリフォームで改善してほしいポイント

リフォームでは、壁紙やキッチンなど見た目を変えたいという思いが強いと思いますが、中古住宅の購入でぜひ改善してほしいのは下記の2点です。

・耐震性
・断熱性
の2点です。

耐震性は、1981年以前の家を購入された方は必須のポイントです。
購入者の条件にもよりますが、1981年以前の建物の耐震補強に際しては
補助金も出る場合も多いので積極的に利用しましょう。
補助金に対する耐震性の把握にあたっては、購入後、有資格者による耐震診断が必要になります。
耐震補強は基本的には壁を補強することになります。
昔の建物は筋交いが足りないか、入っていても金物で固定されていることが少ないため、地震の揺れには弱いのです。
そのため、耐震補強では筋交いや構造用合板などで壁を固めます。
補強の計算によっては基礎と建物をつなげる金物が必要になる事が有ります。
これらの耐震補強の基準には総合評点と呼ばれる数値を使います。
総合評点は、様々な要素を加味して地震に対して下記の評価をします。

1. 5以上 倒壊しない
1. 5未満 1.0以上 一応倒壊しない
1. 0未満 0.7以上 倒壊する可能性がある
0. 7未満 倒壊する可能性が高い

古い建物は評点が0.2や0.3のものが多くこの数字をいかに高めるかが耐震補強設計になります。
できれば1.0以上には上げたいところですが、工事範囲が大きくなるなど
経済的理由により0.7以上を目標にすることもあります。
また耐震改修をするときは、壁や天井床を撤去することが多いです。
同じように断熱改修をする場合、壁に断熱材を入れるには壁を鉄橋する必要があります。
そのため断熱性向上の工事の際に一緒に耐震補強工事をすることでコストを抑えることができます。
断熱性の向上は壁だけでなく天井や床の断熱材の施工が必要ですが、最も効果的な個所は窓です。
窓からの熱の流出は、家から逃げる熱の過半に及びケースもあります。
断熱性を高める窓リフォームはいくつかあります。そのうち代表的な4パターンをご紹介いたします。

  • インナーサッシ

インナーサッシは内窓ともいわれ、既存の窓の内側にもう一つ窓を作ります。
この窓は樹脂製でガラスもシングルガラスとペアガラスを選べます。
おすすめはペアガラスです。既存のガラスがシングルガラスでも、
ペアガラスの内窓を付ければ3枚ガラスになり断熱性だけなく防音性も向上します。
後で上げる窓リフォームよりも安価で済むところがメリットですが、
窓を二つ付けるため開け閉めするのが面倒になりがちなので、よく出入りしそうな掃き出し窓の採用には注意が必要です。

  • ガラス交換

既存のサッシのシングルガラスを真空ガラスに交換するやり方です。
既存のサッシの枠はそのままなので、使い勝手も変わらないメリットがあります。
真空ガラス自体は性能が良いのですが、スペーサーと呼ばれる小さい粒々が入るので
必ず実物を確認してからの採用の可否をお勧めします。

  • カバー工法

既存のサッシの建具自体は撤去しますが枠はそのままで、枠の上からもう一つ枠をかぶせて窓を取り替えます。
窓を交換する割に工事が簡単な割に効果が高いのですが、費用はその分かかる事と
カバーする枠の分だけ窓の開口が小さくなります。

  • 窓自体を交換

窓の枠も建具も交換する方法です。
すべて交換するため新築の窓を採用することができるため、性能は申し分ありません。
その代わり室内の窓枠や外壁周りも撤去する必要があるため工事費はかなり高額になります。
もともと外壁の塗り直しを予定していたり断熱工事など室内の内装を全撤去する場合は
選択肢の一つになりますが、それ以外の場合は上記3パターンの中から選ぶことが多いです。

リフォーム前提の古民家購入の注意点

最近は築100年近くたつ古民家を購入してリフォームする事例が増えています。
ケイジェイワークスでも多数の古民家リフォーム古民家リノベーションをさせていただいていますが、
古民家については通常の家と違って気を付けないといけないポイントが有ります。
これはリフォーム以前の問題で古民家購入の際に皆さんが直面する問題です。安値で販売されている古民家の場合かなり田舎や市街化調整区域に建てられていることが多く、再建築が非常に難しい場所がほとんどです。こういった場合、ローンの審査に通らないことが多いです。
とくにポツンと一軒家のような場所に立つ場合など、近隣に村落がない50戸連たんに入らない時は、ローンの審査がかなり厳しくなります。
また前の道路が私有地等で公道に面していなかったり、土地が宅地でなく農地という場合などは売買自体が難しくなります。
基本的に、銀行はローンの返済が滞った際に、売却して貸付金額を回収できる土地建物にしか融資しない為、買い手が付きにくい物件には融資をしてくれません。
安くて売れ残っている古民家には、安いなりの理由があるため購入には慎重な調査が必要です。

前述した耐震性と断熱性については古民家については現行の基準には当てはまらないです。

古い古民家の場合は基礎自体がないため、しっかりとした補強計画が必要です。
また大きな平屋の古民家の場合、日射が入り込まない為冬場はかなり冷え込むことが多いです。
そのため断熱補強は非常に重要です。吉田兼好の「夏を旨とすべし」を地で行っている家が多いので、
夏は良いのですが冬は立地によってはかなり冷え込みます。
断熱補強をするか薪ストーブなどの効果力の暖房設備の導入を検討しましょう。
古民家の立つ村落の場合、川や山に近い立地も多いため、市町村が出しているハザードマップのチェックも重要です。
最近の大雨や台風の激烈化に伴い水害が多発しているため浸水エリアかどうかの確認をしましょう。
<新築の場合は土台を上げるなどの対策が取れますがリフォームの場合水害に対する対応ができない為です。
また、土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)
これは田舎に限ったことではなく都市部でも重要です。
<特にレッドゾーンと呼ばれる土砂災害特別警戒区域に関しては、
今後住宅ローンが「適用されなくなる」可能性があるため、
<ハザードマップの下調べは土地探しの場合非常に重要です。

などなど、古民家は新築では得られない風合いの良さがありますが、

購入の際には通常の家と違うことが多いので、物件価格以上の費用が
発生することがありますので事前の下調べが重要です。

■まとめ

中古住宅を購入して適切にリノベーションすると、新築並みの性能を発揮することもできます。
そうすることで新築よりもコストも抑えながら居心地の良い家にできます。
ですが、先にあげた注意点に気を付けないと想定外の費用が発生したり、
思っていたことが出来なかったりすることも事実です。
実際は中古住宅の下見から工事をお願いしたい工務店を決めておいて、
下見に同行してもらうことが重要です。敷地と違って家の内部については
<不動産屋さんではわからないことが多いため必ず建築知識のある方の同行が必須です。
リフォームで一番難しいのは「どこまで工事をするか」です。
リフォームの場合、工事をしたところとしていない所がはっきりするため、
つい「あれもこれも」となってしまいがちです。
ですが予算があるため線引きが必要なんですが、そのやる、やらないの線引きが難しいんですね。
ですが、やる・やらないで工事費を調整できるのもリフォームの利点です。
若い世帯の場合、まずは1階だけリフォームして、子供が大きくなったら
2階を工事するといった時間差での計画もできるところが新築と違うところです。
先の計画も見据えて相談できる建築業者さんを先に見つけて中古住宅探しをすることが
遠回りの用で、一番の近道かもしれません。
リフォームって、本当にどこまでするかが難しいですね!

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